映画「開戦前夜」が声明 「特定の人物を貶めることを目的」否定、公開予定に変更なし 

   映画「開戦前夜」公式Xアカウントが2026年6月11日、本作をめぐる訴訟について、製作委員会からのメッセージを公開した。

  • 映画「開戦前夜」公式サイト。7月31日の公開を予定している
    映画「開戦前夜」公式サイト。7月31日の公開を予定している
  • 映画「開戦前夜」公式Xに掲載された製作委員会の声明。作品は「歴史的事実に着想を得たフィクション」
    映画「開戦前夜」公式Xに掲載された製作委員会の声明。作品は「歴史的事実に着想を得たフィクション」
  • 映画「開戦前夜」公式サイト。7月31日の公開を予定している
  • 映画「開戦前夜」公式Xに掲載された製作委員会の声明。作品は「歴史的事実に着想を得たフィクション」

ドラマ版めぐり「祖父の名誉が傷つけられた」訴訟に発展

   「開戦前夜」は、7月31日に全国公開予定の映画だ。猪瀬直樹参院議員が83年に出版したノンフィクション小説「昭和16年夏の敗戦」を原作として、「真珠湾攻撃の 4 ヶ月前―彼らが見たのは、『日本必敗』という結末だった」とのストーリーを描く。

   25年8月16日・17日に放送された「NHKスペシャル『シミュレーション?昭和16年夏の敗戦?』」のドラマパートをもとに映画化される予定だが、本作をめぐっては、実際の肩書を用いた作中の登場人物について、トラブルが起こっていた。

   登場人物のモデルとされる陸軍中将について、ドラマ版では史実や関係者の証言と異なる人物像で演出。モデルとされた飯村穣中将の孫にあたる元駐仏大使の飯村豊氏は、抗議の記者会見を開いた上で、「祖父の名誉が傷つけられた」としてNHKや監督を務める石井裕也監督らを相手に、損害賠償を求め東京地裁に提訴していた。

「『名誉毀損』『歴史捏造』『史実歪曲』、断じて受け入れることはできません」

   映画「開戦前夜」は11日、公式サイトで「映画『開戦前夜』の公開にあたって」として、製作委員会からのメッセージを公開した。

   訴訟をめぐり、「本作ドラマ版に関する訴訟の原告は、メディア等を通じ、本作を 『故人(原告の祖父)の名誉毀損』『歴史捏造』『史実歪曲』等の強い表現で批判しています。しかしながら、これらは原告の一方的な見解に基づくものであり、本製作委員会として断じて受け入れることはできません」と主張した。

   故人の人物像や遺族の心情を「軽んじるつもりはありません」とした上で、「本作の登場人物が原告の祖父であると同定されないよう、複数回にわたり原告との間で対策について協議を重ねたうえで、フィクションであることの明示や誤解防止のための表示・説明など、必要な対応を行ってまいりました」と説明した。

「歴史的事実に着想を得たフィクション」

   作品について「描こうとしているのは、敗戦を予測する合理的な知がありながら、なぜ国家が開戦を止められなかったのかという、当時の社会の空気です」と述べ、「原告の祖父は本作に登場せず、当然のことながら同氏の人格や人物像を描く意図もありません」「本作は、歴史的事実に着想を得たフィクションです」とした。

   「本作を『歴史捏造作品』であるかのように断定することは、作品の内容および制作意図を正確に踏まえたものではありません」とした。

   飯村氏側による公開中止を求める動きについては、「原告の一方的な主張に基づき公開を中止することは、歴史的事実や実在の組織・事件を題材とする表現活動に重大な萎縮をもたらしかねません」と批判し、「これまで当たり前のように見られてきた歴史ドラマ、社会派作品、実在の出来事に着想を得た映画やドラマを、観客の皆さまに届けること自体が難しくなるおそれがあります」とした。

「本製作委員会は、本作が原告を含む第三者の権利を不当に侵害するものでないと確信しております。したがって、映画の公開予定に変更はございません」

   なお、「本作ならびにキャスト・スタッフ・その他関係者の信用や名誉を不当に毀損する発信や働きかけに対しては、法的措置を含め適切に対応してまいります」としている。

   製作委員会の声明をめぐっては、「事実を元にしたフィクションだ」とする製作委員会の姿勢に理解を示す声がある一方、「フィクションと言えば何でも許されると言うのは乱暴ではないか」といった意見も多く、賛否の声が寄せられている。

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