夜の街にも「ブーム」がある。ハイブランドのアイテムから『ラブブ』のようなマスコットキャラクターまで、ナイトワーカーはとにかく流行りものが大好きだ。
ただTikTokで使用される音源と同等に、ブームは非常に流動的。話題性は1年と続かず、半年後には「ダサい」のレッテルを貼られる。マスコットキーホルダーなど安価なものならまだしも、ハイブランドが右から左だなんて、夜の街でないと起こり得ない驚きの現象だ。
そんな中でも、ナイトワーカーの間で流行り続けるものがある。美容だとかサウナ(サ活)と候補はいろいろ挙げられるのだが、ブームから安定へと変化したのは、間違いなく「シーシャ」(水タバコ)だ。
なぜナイトワーカーはシーシャが大好きなのか?
キラキラとした現役キャストのSNSをのぞくと、高確率でシーシャバーに足を運んでいる。パイプと美女(またはイケメン)がセットで映る写真はネットにごまんとあふれており、多くの人が一度は目にしたことがあるだろう。ナイトワーカーのシーシャ好きは相当な数にのぼり、本気でハマると家に器具を揃え始めるほど。
なぜナイトワーカーがシーシャ好きに走るのかというと、もともとの喫煙率の高さが関係している。
接客業はストレスが大きく、正直なところタバコでも吸わねばやっていられない。客の喫煙率もそこそこ高く、酒+タバコが当たり前の空間で喫煙者が多いのは至って普通のことだろう。というわけで、単に「愛煙家が多いから」がシーシャ好きが増える一番の理由である。
ただ、ナイトワーカーの中にはもちろん非喫煙者も一定数いるのだが、意外にも非喫煙者でさえシーシャバーに足繁く通う。
歓楽街とは無縁の人々からすれば「一体ナゼ?」と疑問に思うかもしれないが、単純に水タバコの味が好きだったり、静かな空間でまったりタイムを楽しみに行くのだ。フレーバーにはチョコレートやフルーツ系などもそろい、タバコというよりカフェタイムのような感覚と言えようか。
夜のお店が閉まる時間は深夜1時~であり、寄り道先が限られる。おまけにワイワイ系のバーや酔った人間が集う飲食店ばかりが空いているため、心がホッと休まる場を求めると、落ち着いた空気感のシーシャを選びがちに。
歓楽街のシーシャバーは朝方まで営業するところが多いのも、ナイトワーカーが集う理由である。1人利用も友達との来店もOKとなると、「チルタイム」には非常にふさわしい場なのだ。
店内のキレイさ、「映え」やコンセプトなどが求められる
シーシャが流行り始めてからしばらくの時が経過し、今や歓楽街の外を飛び出してあちこちのエリアに進出している。基本的には都会に店を構えるのが一般的だけれど、最近は店内の一部にシーシャスペースを設けるところさえ現れた。実際、筆者が訪れたインド料理店の一角がシーシャ専用ゾーンになっており「飲食後に別料金で吸えます」とメニューに書かれていたのである(笑)。
シーシャの利用料は決して安いものではなく、相場としては1人当たり最低3000円以上。基本料金に加えドリンク代やチャージ代が発生し、1万円を超える店も存在する。歓楽街かつ深夜営業をするところはだいたい5000円前後と平均値が高く、メインターゲットがナイトワーカーであることがよくわかる。
質の良さや店内のキレイさ、「映え」やコンセプトなど求められる項目はいろいろあるが、シーシャビジネスは「当たれば」大きい。特にナイトワーカーが多く来店する場合だと、何よりも口コミが大切である。人気キャストが身内に勧め、SNSに載せれば輪も一気に広がってリピーターを獲得しやすく、結果的に店が繁盛するのだ。
最近はシーシャコンカフェやレストラン併設など、変わり種も多数登場中。ブームがすっかり定着した今だからこそ、今後もナイトワーカーの間で親しまれていくだろう。
彼らはいち早く流行を取り入れるからこそ、そこに目をつけてビジネスを始めると「一時的には」儲かる。だいたいがすぐに寿命を迎えるものの、ひと工夫を加えれば生き残りは可能。飽きられるのが早い中で踏ん張れるのならそれは一過性の力ではないため、歓楽街のブームを狙い撃ちする形で目をつける経営者も決して少なくはない。
流行っては消え、流行っては消え......と非常に流動的な夜の世界。人の出入りが激しいのだから、ある意味ブームの移り変わりも当たり前のことだ。複数流行れば最低1つくらいは残留するので、それが最近ではシーシャだったのだと言える。
近頃はナイトワーカー自身が副業でシーシャバーを始めるなど、歓楽街での人気は計り知れない。さらなる個性派な店が今後も現れる可能性が高いと、より一層夢中になる人々も増えていくのだろう。
【プロフィール】
たかなし亜妖/2016年にセクシー女優デビュー、2018年半ばに引退しゲーム会社に転職。シナリオライターとして文章のイロハを学び、のちにフリーライターとして独立する。現在は業界の裏側や夜職の実態、漫画レビューなど幅広いジャンルのコラムを執筆中。