高市首相の「サナ活」ブームは終わったか 愛用バッグやペン爆売れ、えびせんべいセールス10倍増...そして今

   高市早苗首相の愛称「サナ」と、アイドルなどを応援する「推し活」を組み合わせた「サナ活」。昨年秋の首相就任前後からSNSを中心に広がり、高市首相の愛用品や出身地・奈良に注目が集まった。

   その熱気は現在、どこへ向かっているのか。

  • 会見する高市早苗首相
    会見する高市早苗首相
  • 奈良ロイヤルホテル「サナ活ランチ」は、高市首相の好物をメニューに
    奈良ロイヤルホテル「サナ活ランチ」は、高市首相の好物をメニューに
  • 高市首相が愛用のバッグが話題に(写真:ロイター/アフロ)
    高市首相が愛用のバッグが話題に(写真:ロイター/アフロ)
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  • 奈良ロイヤルホテル「サナ活ランチ」は、高市首相の好物をメニューに
  • 高市首相が愛用のバッグが話題に(写真:ロイター/アフロ)

首相の愛車展示、来場者が10倍に

   サナ活を象徴するのが、高市首相の愛用グッズだ。首相就任直後、官邸への初出邸時に手にしていたバッグが皇室御用達で知られる濱野皮革工藝の「グレース ディライトトート」の黒ではないかと話題になり、ネット上で「ほしい!」との声が相次いだ。価格は税込み13万6400円と高額だが、注文殺到で全色が売り切れになるほどの人気となった。

   また、就任会見で使っていたピンクのペンにも注目が集まった。三菱鉛筆の「ジェットストリーム」のライトピンクだとみられ、1本で4色ボールペンとシャープペンの機能を兼ね備えた多機能ペンだ。

   各店舗でライトピンクの売り切れが続出し、同色が通常の3~4倍の売り上げを記録する店もあった。

   高市首相の地元・奈良にもブームは波及した。

   老舗の奈良ロイヤルホテルでは、高市首相の好物とされるタラコご飯、コロッケ、肉まんを盛り込んだ「サナ活ランチ」を提供。ランチ予約の7割を占める人気となり、当初は2025年12月限定の予定だったが、26年2月末まで延長した。

   また、伊勢神宮へ参拝する移動中の電車で手にしていた坂角総本舗のえびせんべい「なごや天麩羅(てんぷら)」は、売り上げが約10倍に増加した。

   さらに、奈良トヨタの自動車博物館「まほろばミュージアム」では高市首相が22年間乗り続けたスープラ(1991年式)が展示されていたが、首相就任後に来場者が急増。25年9月ごろの月間来場者数は500人ほどだったが、首相に就任した同年10月には10倍の約5000人となった。

   そうした過熱ぶりを見せるなか、26年2月の衆院選で自民党は圧勝した。細かく見ると、小選挙区の投票率が全国で56.26%となり、前回比2.41ポイント上昇。都道府県別では、高市首相の地元である奈良県が62.17%で全国トップとなった。これも、サナ活に象徴される高市人気が政治への関心を高めた結果だと言えるかもしれない。

「サナ活」投稿はSNSであまり見られない

   サナ活ブームの「その後」はどうなったのか。

   濱野皮革工藝の「グレース ディライトトート」は、黒のみにカラーを絞って今も予約を受けている。品薄状態は続いており、現在の出荷予定時期は半年後の2026年11月30日ごろとなっている。

   また、三菱鉛筆の「ジェットストリーム」のライトピンクは、現在も人気商品ではあるが、6月時点で大半の通販サイトで品切れはなく、普通に購入できる。ブームは落ち着いたようだ。

   「サナ活ランチ」の提供は終了したが、2月からは同ランチで人気だった豚まんをお土産用に商品化した「サナエちゃん大好き豚まん」が売り出された。しかし現在、SNSなどでは今日、あまり購入者の感想が見られない。

   坂角総本舗のえびせんべい「なごや天麩羅」も、現在は高市首相と関連付けたSNS投稿はあまりない状況だ。

   多くの見物客を集めたスープラは、愛知県長久手市のトヨタ博物館でも4月23日から5月24日まで特別展示された。だが、来場者が急増したとの報道はほぼ見当たらず、まほろばミュージアムほどの盛り上がりにはならなかったとみられる。

   これらの全体的な状況を踏まえると、サナ活ブームは以前に比べて下火になっているとみるのが妥当だろう。

若者の「高市離れ」が進んでいる?

   思わぬ騒動も起きた。高市首相の名前を冠した暗号資産「SANAE TOKEN」を巡るものだ。

   2026年2月に発行されたが、高市首相は3月に公式Xで「私は全く存じ上げません」と関与を完全否定。直後に発行中止となった。だが、一連の経緯をめぐって波紋が広がり、今もくすぶっている。

   今日、SNSでは高市首相を就任当初のようなアイドルのように扱う空気は沈静化した。関連ワードで検索すると、サナ活がニュースで取り上げられる機会が激減している。これはブームが終わったというより、興味の対象が持ち物や好物などから、政権運営の評価へと移りつつあると見るべきだろう。

   高市内閣の支持率は依然として高水準であるものの、5月の毎日新聞の世論調査では前回比3ポイント減の50%となり、3か月連続の下落となった。朝日新聞の調査でも60%で前月から4ポイント減となった。NHKの6月の世論調査では、「支持する」60%で「支持しない」が26%。特に「支持しない」は3月と並んで就任以来最も悪い数字だった。

   毎日新聞の世論調査によると、18~29歳の支持率は2025年10月から26年2月まで70~76%と高かったが、3月は61%、4月は51%と落ち込み、5月の調査では45%で初めて50%を下回った。

   支持率が下降傾向にあり、とりわけ「サナエ旋風」の原動力だったとされる10代・20代の支持離れが進んでいるとなれば、「高市ブーム」が全般的に冷めつつあるのも理解できる。

   そして今は、長引く物価高、石油・ナフサ不安、消費減税や給付付き税額控除の実現、中傷動画疑惑への対応と、高市首相の目の前には課題が山積している。

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