高市首相陣営が総裁選や総選挙で他陣営の誹謗中傷動画を作成したとされる問題で2026年6月12日放送の「プライムニュース」(BSフジ)はこの問題の本質はどこにあるのかを取り上げたが、答弁の安定性、首相周辺の危機管理体制に問題があることが指摘された。
「答弁の安定性は台湾有事発言でも問われた」
日本政治史が専門の中央大学教授の中北浩爾さんは3つのポイントを挙げた。1つは高市首相のスキャンダルという側面。「他候補への誹謗中傷は私の流儀ではないというスタンスだった高市首相の秘書が、こういう誹謗中傷動画にかかわっている。2つ目は、より広い意味で重要なのはSNSの政治的影響力とそれに対する規制の問題がこの話と直結しているということ。3つ目は高市さんの答弁が揺れ動いていることは事実なので、官邸の体制の問題。答弁の安定性は台湾有事発言でも問われた部分でもある」と指摘した。
安倍政権は「土俵際でふんばることが出来たが」
これまでの政権と比べて危機管理のあり方はどうか。
中北さんは「安倍政権の時も踏み込んだ発言があり、モリカケ問題の時も『事実だったら(首相を)やめる』といった話もあったが、その後は比較的防衛ラインをしっかり設定して守ってきたと思う。いくつかスキャンダルがあったが、政権は長期化することが出来た。桜を見る会の問題も厳しかったが、土俵際でふんばることが出来た。週刊文春が書いていたが、高市総理は感情的になって用意した答弁通りの発言をしないという。それが事実なら台湾有事発言と同じような状況が生まれていて、内容は間違っていないが、しなくてもいい発言だった時の教訓が生かされていない。官邸の機能が弱いまま、これが修正されないまま進んでいくと、いろんな意味でのほころびが出てくるリスクを感じる」と話した。
危機管理スタッフが官邸に不在なのか、それとも首相が周囲の声を聞く耳を持たないのか。
(ジャーナリスト 佐藤太郎)