「愛子さまが天皇に」を議論せずまとめられた「立法府の総意」 「皇位は男系男子」ルール化されたのは近代

   安定的な皇位継承をめぐり、衆参両院の議長・副議長および各党代表者の議論を経て、女性皇族が結婚後も皇族の身分を保持する案と、終戦直後に皇籍離脱した旧宮家の男系男子を養子縁組によって皇族に迎える案の2本柱が「立法府の総意」として集約された。

   今後、この総意に沿った皇室典範改正が進められるとみられている。

  • 天皇皇后両陛下(2020年1月撮影)
    天皇皇后両陛下(2020年1月撮影)
  • 2026年 春の園遊会の愛子さま(写真:代表撮影/ロイター/アフロ)
    2026年 春の園遊会の愛子さま(写真:代表撮影/ロイター/アフロ)
  • 天皇皇后両陛下(2020年1月撮影)
  • 2026年 春の園遊会の愛子さま(写真:代表撮影/ロイター/アフロ)

天皇の地位は〈主権の存する日本国民の総意に基く〉

   現行の皇室典範では「皇統に属する男系の男子」のみ、皇位継承の資格が認められている。

   その規定に則ると、皇位を継承できるのは、今上陛下の弟君・秋篠宮文仁親王、その嫡男・悠仁親王、そして上皇陛下の弟君・常陸宮正仁親王の3人しかいないことになる。

   今回の「立法府の総意」は、そうした状況の中で集約された意見だ。

   だが今回の議論は、「あくまで喫緊の課題である皇族数の確保が目的」との建前のもと、男系継承の維持が前提とされている。そのため、愛子内親王を天皇とする女性天皇や、女性皇族の子どもが天皇となる女系天皇の議論は対象とされていない。

   戦後の1946年11月3日に公布された日本国憲法の第一章には、天皇の地位について記されている。

   その第1条には、

〈天皇は、日本国の象徴であり日本国民統合の象徴であつて、この地位は、主権の存する日本国民の総意に基く〉

とある。

女性天皇は〈国民の総意〉に反するのか?

   では、女性が天皇になることは〈国民の総意〉に反するのだろうか。

   実は、各社の調査において、女性天皇を容認・賛成する声は多数を占めている。

   朝日新聞(5月16~17日実施)では「女性も(天皇に)なれるようにした方がよい」が72%、同じく毎日新聞(5月23~24日実施)でも女性天皇に賛成が72%と、高い数字を示している。

   すなわち、これは将来的に愛子さまが天皇になられる道を、多くの国民が肯定的に受け止めていることの表れとも言えるだろう。

   だが、女性天皇の誕生にも皇室典範の改正が必要となる。

   かつて2005年の小泉純一郎政権下で設置された「皇室典範に関する有識者会議」で、女性天皇および女系天皇を認める皇室典範改正の機運が高まったことがある。

   しかし、男系による継承を主張する保守系の議員らの強い反発を受け、さらに翌年の9月に悠仁さまが誕生されたことで、この議論はいつしか立ち消えとなった。

天皇陛下が議論について述べられた

   一方で、男系による継承を主張する人たちの多くは、その理由を神代の時代から受け継いできた日本の伝統だから、と述べる。

   しかしながら、過去には推古天皇をはじめとする女性天皇が存在した。

   さらに、皇位が「男系の男子」のみに厳格に限定され、女性天皇が制度として完全に排除されたのは、有史以来の伝統というよりは、近代化を目指す明治政府が、ドイツ(プロイセン)の君主制や家族国家観を取り入れて確立した「近代のルール」という側面が強い。

   それが明文化されたのは、明治22(1889)年に作られた旧皇室典範からなのである。

   このたび、自民党の鈴木俊一幹事長は、この総意に沿った皇室典範改正を「(7月17日会期末の)国会で優先的に成立させなければならないもののひとつ」と発言している。

   国内外でさまざまな問題が起こるなか、なぜこの改正が優先されるのだろうか。

   〈国民の総意〉は、国政に反映されるのだろうか。

   なお、天皇陛下は6月11日に今回の議論に触れ、「国民のみなさんの理解が得られるものとなることを望んでおります」と述べている。

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