ロシアのテレビに流れた若手兵士に詰問されるプーチン大統領、綿密に計算された芝居?

   ロシアのプーチン大統領が若手兵士に問い詰められる場面が映し出される。2026年6月15日放送の「報道1930」(BS-TBS)が紹介したウクライナ前線で戦う兵士らとの会合(12日)は、ウクライナのドローン攻撃に苦しむロシアの一面を浮き彫りにした。

  • ウクライナからのAI搭載のドローン攻撃で苦しい戦況にあるロシア(画像はイメージ)
    ウクライナからのAI搭載のドローン攻撃で苦しい戦況にあるロシア(画像はイメージ)
  • ウラジーミル・プーチン大統領(ロシア大統領府ウェブサイトより)
    ウラジーミル・プーチン大統領(ロシア大統領府ウェブサイトより)
  • ウクライナからのAI搭載のドローン攻撃で苦しい戦況にあるロシア(画像はイメージ)
  • ウラジーミル・プーチン大統領(ロシア大統領府ウェブサイトより)

「戦争を支持しながらも体制に幻滅する人々が増えている」

   映像では、あるロシア軍兵士が「いまや敵はAIで制御する攻撃型ドローンを戦場で大量に展開しています」と窮状を訴える。プーチン大統領はFPVドローンやAI搭載ドローンについては非常に活発な研究開発が進められていると弁明に追われた。

   ロシア政治専門家のデニス・グレコフさんは「明らかに社会の緊張が高まっていて、不満を持つ人の数が増えている。戦争を支持しながらも体制に幻滅する人々が増えている。彼らはプーチン氏個人やこの戦争の指導層に対し批判的な態度をとっている」と分析した。

   侵攻開始以来、ロシア兵の死者が約50万人となり、支持派からも現在の路線は全面的な敗北への道だという声があがっているというのだ。

国営チャンネルで夜の一番重要なニュースとして流した、その意図は?

   なぜこのような映像が流れるのか。モスクワ支局長を経験した朝日新聞編集委員の駒木明義さんは「この映像は非常に異例ではあるが、偶発的に起きた話ではなく、政権によって綿密に計算されたいわば劇場だと思う。その証拠に、この会合についてのニュースは、国営の第1チャンネルで流すその日の夜の一番重要なニュースで、全体で40分ぐらいあるが、その冒頭15分ぐらい延々とプーチンと兵士たちとのやりとりを公開している」と説明する。

   MCの松原耕二さんは「それによってロシア軍は負けているじゃないかという印象を視聴者に植えつけることにならないのか」と質問する。

   駒木さんは「それを承知のうえで、それをむしろ大統領は現実を認識していて、真摯に受けとめて改善しようとしているという姿勢を見せておかなければいけない。戦争を支持するからこそうまくやっていない大統領を批判する層に対しては『大統領はわかっている』と。よく言われるのは、『皇帝はよくわかっている、悪いのは腐敗している周りの取り巻きたちだ』という構図を可視化している」と説明した。

(ジャーナリスト 佐藤太郎)

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