宿泊予約サイト「Booking.com」(ブッキング・ドットコム)経由の予約情報が流出し、客にフィッシング目的の不審なメッセージが多数送信されている問題で、日本ホテル協会の掛江浩一郎・専務理事が2026年6月16日、記者のインタビューに応じ、「予約情報がどのように漏洩したかは明らかになっていない」と現状を説明した。
(ジャーナリスト 橋本聡)
発覚から1カ月以上が経過したのに「十分な説明が確認できていない」
日本ホテル協会は帝国ホテルなど229の有名ホテルが加盟し、国内ホテル業界を代表する団体。掛江氏は国土交通省出身で元関東運輸局長。Booking.com側との交渉窓口をつとめている。
協会は6月12日のプレスリリースで、Booking.comを通じて予約した客に、ホテルを装ったフィッシングメッセージが届く事例が多発していることを明らかにし、Booking.com側にすみやかな原因調査と結果の開示などを求めている。しかし、発覚から1カ月以上が経過した現在も、具体的な原因や影響範囲などについて「十分な説明が確認できていない」としている。
国内の宿泊業界は近年、OTA(オンライン旅行予約サイト)を通じた集客が伸びており、日本旅館協会の統計調査(2025年度)によると、OTA経由率は平均46.9%に達している。Booking.comの本社はオランダにあり、世界的なOTAとして知られている。
「こんなに多くのホテルが一斉にパスワードを盗まれることはありえない」
――一連の問題を把握したのはいつごろ?
2026年のゴールデンウイークに会員ホテルから通報があり、5月4日、当協会の公式サイトで会員向けに「注意喚起」を出した。Booking.comに関する注意喚起は、不審メッセージとは別の問題も含めて6月12日の(その4)まで1カ月余りの間に計4回出している。
――Booking.comとホテルは予約情報を共有する仕組みをもっている。協会は「ホテル側の管理システムに異常や情報漏洩の形跡が認められていない」ことを会員ホテルから確認している。一方で、Booking.comは調査中と述べている。また5月下旬にJ-CASTニュースの取材に、調査中であることを前提に「弊社からは、予約情報が流出した形跡は一切ない」と述べている。
原因究明を待たなければいけないが、会員ホテルのパスワード管理に問題はなかった。管理システムにも異常や漏洩の形跡はなかった。そもそも、こんなに多くのホテルが一斉にパスワードを盗まれることはありえないと考えている。
「原因は何なのか、具体的に説明してもらわないと安心できない」
――6月12日に一般向けにプレスリリースを出したわけは。
5月の各ホテルの調査依頼から1カ月以上が経過したが、Booking.com側は「調査中」とし続けている。われわれには、お客様の安全を守り、不安をとりのぞく責任がある。予約情報流出の原因は何なのか、具体的に説明してもらわないと、お客様もわれわれも安心できない。この種の事例では常識的にみて、1カ月かかっても原因が示されないというのは遅すぎる。12日のプレスリリースには「Booking.com社の迅速かつ誠実な対応を期待する」と書いた。
――お客様への説明責任として、原因が判明したら発表するのですか。
それは本来、Booking.comがオープンにすべきことではないか。われわれとしては現段階で何ともいえない。
Booking.comのコメント「宿泊施設との協議や確認・調査は継続して進めている」
Booking.comに日本ホテル協会の発言についてコメントを求めたところ、広報担当者から次の回答があった。
「Booking.comでは宿泊施設から寄せられる個別の問い合わせや調査依頼については、それぞれの事案に応じて適切に対応しております。また、本件は個々の宿泊施設ごとに状況や経緯が異なるため、個別案件を包括する形でのコメントや説明は差し控えております。一方で、関係する宿泊施設との協議や必要な確認・調査については継続して進めております」