若い社員に広がる「静かな退職」 個人の問題でなく、会社の問題として対処すべき理由とその手段

「役割と期待の明確化」「対話の質」「挑戦が報われる仕組み」

   私は3つの視点が重要だと考えています。

   第一に、役割と期待を明確にすることです。社員が何を求められているのか分からない状態では主体性は生まれません。

   第二に、対話の量と質を増やすことです。形式的な1on1ではなく、本人のキャリアや価値観に踏み込んだ対話が必要です。

   第三に、挑戦が報われる仕組みを整えることです。成果だけではなく、挑戦や改善行動そのものを評価する文化が求められます。

   企業価値の源泉が人材であると言われる時代です。人的資本経営が重視されるなかで、採用や育成への投資は増えています。しかし、採用した人材の意欲を維持できなければ、その投資は十分な成果を生みません。

   静かな退職という現象は、社員の働き方の変化を示す言葉であると同時に、企業のマネジメントの在り方を映し出す鏡でもあります。社員の意欲が低下しているのではありません。社員の意欲を引き出せなくなっている組織が増えているのです。

   今こそ経営者と管理職は、「社員がなぜ静かになったのか」を問い直す必要があるのではないでしょうか。



【筆者プロフィール】
高城 幸司(たかぎ・こうじ)/株式会社セレブレイン代表取締役社長。1964年生まれ。リクルートに入社し、通信・ネット関連の営業で6年間トップセールス賞を受賞。その後、日本初の独立起業専門誌「アントレ」を創刊、編集長を務める。2005年に「マネジメント強化を支援する企業」セレブレインの代表取締役社長に就任。近著に『ダメ部下を再生させる上司の技術』(マガジンハウス)、『稼げる人、稼げない人』(PHP新書)、『決定版 「リーダーシップのコツ」をマンガでマスターできる本』(Gakken)

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