「起きるべくして起きた」LUUPで死亡事故に不信感を募らせる人たち いまだに収まらない運転マナーの悪さ

   電動キックボードシェアリングサービス「LUUP(ループ)」の利用者が絡む死亡事故が2026年6月2日、東京都北区の路上で発生した。

   このニュースが報じられるや否や、SNS上には悲痛な声とともに、「起きるべくして起きた」と、どこか冷ややかな反応があふれ返った。

  • 急速に普及するLUUP
    急速に普及するLUUP
  • LUUPが2024年10月16日に公表した、社外取締役・監査役10人(LUUP社の発表資料より)
    LUUPが2024年10月16日に公表した、社外取締役・監査役10人(LUUP社の発表資料より)
  • 急速に普及するLUUP
  • LUUPが2024年10月16日に公表した、社外取締役・監査役10人(LUUP社の発表資料より)

ロビー活動による法改正と急速な普及

   都心部を中心に爆発的に普及し、今や街の風景の一部となったエメラルドグリーンの電動キックボード。

   LUUPは「街じゅうを『駅前化』するインフラをつくる」という壮大なビジョンを掲げて誕生したスタートアップだ。

   その成長を一気に加速させたのが、2023年7月の改正道路交通法の施行だった。

   これにより「特定小型原動機付自転車(特定原付)」という新たな車両区分が誕生した。

   この法改正は、既存の交通ルールから見れば、異例とも言える大幅な規制緩和だった。

   16歳以上であれば運転免許は不要で、ヘルメットの着用は努力義務、最高時速20kmで車道を走ることができ、時速6kmモードに切り替えれば歩道の走行すら可能なのだ。

   なぜ、これほどの法改正が短期間で実現したのか。

   それにはLUUPをはじめとする事業者たちによる「マイクロモビリティ推進協議会」という業界団体のロビー活動があったことが、「ダイヤモンドオンライン」2025年6月23日付の記事ほかで報じられている。

スタートアップの突破力と悪質な利用者による問題行動

   新しい産業を根付かせるため、ルールの枠組みから変えていく姿勢は、ビジネスモデルとしては正しく、スタートアップであるLUUPの突破力があった証拠でもある。

   だが、そうした急速な普及ゆえに、世間の不信感もまた、一気に高まっていった。

   一部の悪質な利用者による逆走、信号無視、イヤホンをしながらの運転、二人乗り、果ては飲酒運転といった問題が起こるたび、市民の怒りは強まっていった。

   また、そもそもLUUPは自転車に比べてタイヤの径が極端に小さく、重心が高いため、ちょっとした段差や溝でバランスを崩しやすい。

   この機体の不安定さが、運転者の低いモラルと合わされば、事故のリスクは一気に跳ね上がる。

   もちろん、LUUP側もこの事態を放置しているわけではない。

   アプリ利用時には交通ルールテストの全問連続正解を必須とし、違反点数制度や危険走行検知システム「LUDAS」を導入。悪質な違反を行った利用者のアカウントを即座に凍結するなどの対策を強化したほか、ナンバープレートの視認性を高めて通報しやすい仕組みを整備するなど、対策を重ねてきた。

   だが、その施策は発展途上で、世間の不信感を完全に払拭するまでには至らなかった。

監査役に「天下りではないか」とまで

   そうしたなか、2024年に元警視総監を監査役に起用したことが明るみになると、ネット上にはLUUPに対するさらなる非難が広まった。

   企業側からすれば、交通安全の知見をガバナンスに組み込むための正当な経営戦略かもしれないが、LUUPの危険運転が話題となっている渦中だったため、「天下りではないか」「警察と癒着して、LUUPの取り締まりが甘くなるのではないか」といった「マスコミが報じない不都合な真実」めいた言説が一気に拡散したのである。

   今回の事故でLUUPに冷ややかな目が注がれたのは、こうした経緯が影響していると考えられる。

   いずれにせよ、今回の悲しい事故を教訓に、ルールの強化や法規制の再検討も進める必要があるだろう。

   LUUPが描いた「街じゅうを『駅前化』する」という未来図は、決して間違っていない。

   しかし、その便利なインフラが社会の厄介者とされるのか、真に愛される足として定着するかは、今後の対策次第と言えるのではなかろうか。

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