高市首相秘書の陳述書「近日中に提出」表明から半月超...迫る会期末、「出さないまま逃げ切る」説も

   自民党総裁選や衆院選での誹謗中傷動画などの疑惑を巡り、高市早苗首相の「国会軽視」とも取れる対応に批判の声が収まらない。2026年7月17日には国会の会期末が迫る中、首相自らが「近日中に提出する」としていた秘書の陳述書さえも進捗状況は不明のままだ。

   7月10日の夜には、国会前をはじめ各地で高市政権に対する抗議デモが行われた。反発の声が根強い皇室典範改正案が同日に衆院本会議で可決されたほか、参院本会議では病歴や犯罪歴を本人の同意なしにAIが収集できる改正個人情報保護法も可決され、成立。それに先立つ6月30日には国旗損壊処罰法案も数の力を武器に衆院を通過。強硬な政権運営への不満の声が上がっている。

  • 高市早苗首相(2025年12月撮影)
    高市早苗首相(2025年12月撮影)
  • 国会審議のあり方が問われている
    国会審議のあり方が問われている
  • 高市早苗首相(2025年12月撮影)
  • 国会審議のあり方が問われている

党首討論&予算委の集中審議は実現へ

   一方で高市首相は、自身の疑惑に対する国会での説明は非常に消極的だ。首相の事務所が誹謗中傷動画の拡散や暗号資産「サナエトークン」に関与した疑惑で、当初は秘書と動画作成者について「面識がない」と完全否定していた。だが、新たな接点の証拠が週刊誌などで報じられると説明は二転三転した。

   さらなる波紋を広げたのが、6月22日の衆院予算委員会での態度だった。疑惑の対応によって「私の総理としての業務時間も残念ながら確保できなくなってきております」と不満を吐露。その上で「近日中に奈良の秘書の陳述書と、暗号資産に関する記述などどこにもない、相手企業から送られてきた唯一の提案書を予算委員会の理事会に提出させてください。それをもって答弁とさせていただきたい」と主張。この態度が「答弁拒否」とみなされ、火に油を注ぐ結果となった。

   7月6日の参院決算委員会で再び野党から追及を受けた高市首相は、陳述書の提出で済ませようとした対応を「あらかじめ陳述書を提出し、質疑者にも国民にも全体像を読んでいただくことで理解が深まると考えた」と説明。さらに「国会での質問に対応しないという趣旨でない」と弁明した。野党側が要求してきた党首討論は7月15日の実施が決まり、衆参予算委での集中審議も、ようやく応じる方向で調整に入っている。

「会期末まで待った上で提出しない形にできるといい」?

   しかし、首相自らが「近日中に提出する」としていた陳述書について、答弁から半月以上が経過しても今のところ新たな動きは見えない。SNSでは「何日経過しているんだ」「答弁からも陳述書からも逃げる」などと疑問の声が目立っている。

   作家の本間龍氏はYouTubeチャンネル「一月万冊」で高市首相の姿勢について言及。「陳述書を出さないまま逃げ切ろうとするんじゃないの」と皮肉を交えて指摘した。

   陳述書については、舞台裏で様々な思惑が交錯しているとの見方もある。例えば日本テレビは7月8日の報道番組「news every.」で「もめると国会審議に影響するから、会期末まで待った上で提出しない形にできるといい」という「総理周辺」のコメントを報じている。

   この誹謗中傷動画疑惑では、積極的に報道していた週刊文春や共同通信が、証拠の一部に矛盾が見つかると相次いで記事を訂正。その後は続報が減るなど、一時期に比べて若干沈静化している。一方で、疑惑の本丸は誹謗中傷動画ではなく「サナエトークン」の方だとする見方もある。会期末が迫る中、高市首相がどこまで真摯に対応するのかが注目される。

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