パチンコ関連企業の倒産が相次いでいる。近年は「パチンコ離れ」が指摘され、業界は衰退する一方だとみられがちだ。だがパチンコ業界全体で見ると、売り上げは回復傾向にあり、主要ホール企業の平均決算では増収増益のデータも出ている。10年間で総売上高10兆円以上減福岡市でパチンコ・パチスロ遊技機の販売を手がけていたパワーズは、2026年6月22日に福岡地裁から破産開始決定を受けた。帝国データバンクによると、負債総額は約3億5000万円にのぼるという。石川県でパチンコホールを運営していたカラットは、6月9日に破産開始決定を受けた。ピーク時の年間収入は10億円を超えていたが、コロナ禍の影響で来店客が大幅に減少し、負債額は約8億4900万円にのぼった。さらに、パチンコ店への人材派遣を手がけていた福岡市のAYS南九州と関連2社も6月18日に破産開始決定を受けた。負債総額は3社合計で約2億5000万円とされる。今年はほかにも、群馬県でパチンコホールを運営していたドリームアロー、秋田県でホール運営をしていたジャイアント、新潟県でパチンコ遊技機械や付帯設備の販売を手がけていたケイアイカンパニーなどが破産開始決定を受けている。近年では2023年10月、「GAIA」「アイオン」などを展開していたパチンコホール大手のガイアが、東京地裁に民事再生法の適用を申請。負債総額はグループ全体で1133億円とされ、ホール運営会社としては過去最大規模の倒産となった。こうした倒産情報だけを見れば、パチンコ業界は衰退へ向かっているようにも見える。帝国データバンクによると、2024年にデータベース登録のあるパチンコホール経営法人は1201社で、前年から10.1%減少した。2015年からの10年間で、総売上高も10兆円以上減っている。パチンコホール経営企業106社は2期連続の増収増益ところが、最近の調査では意外な数字も出ている。帝国データバンクによると、2024年のパチンコホール経営法人の総売上高は11兆7133億円となり、前年から5.0%増加。過去10年で初めて前年比増に転じた。倒産や廃業が続く一方で、残った事業者の売上は戻り始めているのだ。公営ギャンブルと比べると、2025年度の中央競馬の売得金は約3兆4853億円、地方競馬は約1兆1468億円、競輪の総車券売上高は約1兆5487億円、ボートレースの総売上は約2兆6658億円、オートレースは約1296億円。いずれもスマホ投票などを背景に好調だが、これらをすべて足しても、パチンコホールの総売上高には届かない。また、矢野経済研究所によると、パチンコホール経営企業106社の2024年度決算を集計したところ、1社あたりの売上高平均は174億3200万円、営業利益平均は2億3700万円だった。売上高は2023年度が前年度比8.8%増、2024年度も同7.1%増となり、同研究所は「2期連続の増収増益で着地」としている。なぜ、企業が減るなかで売り上げは増えたのか。大きな要因とされるのが、2022年に登場したスマートパチスロ、いわゆる「スマスロ」の存在だ。メダルレスで従来のように物理的なメダルを投入・払い出しする手間がなく、遊技データの管理や演出面も進化した。スマスロ人気で進む二極化、次の一手は「キャッシュレス化」スマスロは出玉性能の高い人気機種が相次いだことで、ホールから離れていた層を呼び戻すとともに、新規層を掘り起こす効果があったとみられる。ただし、恩恵を受けられるのは投資余力のある大手が中心だ。スマスロの新台を大量導入できる大手ホールには客が集まる一方、中小ホールは集客で不利になる。結果として、大手は回復、中小は淘汰という二極化が進んでいる。パチンコ業界でM&Aが目立つのも、その状況を象徴している。パチンコ業界の次なる一手として注目されているのが、ファンからの要望が多かった「キャッシュレス化」だ。2026年6月、パチンコホール向けキャッシュレス決済サービス「PPPAY(ピーピーペイ)」の提供準備が完了した。利用者は、事前にVisa・Mastercardブランドのデビットカードやプリペイドカードをアプリに登録し、来店時にカウンターで決済すると、金額に応じて現金なしでも遊技用の玉やメダルを借りられる。利用上限は1日2万円、1か月8万円に設定された。現金を持ち歩かない若年層の取り込みにつながるとの期待がある一方、ギャンブル依存症への懸念などから抵抗感もある。ただ、キャッシュレス化が定着すれば、市場の流れを大きく変える起爆剤になる可能性がある。パチンコ市場はゆるやかに縮小していくとの見方が根強いが、総売上高の回復やキャッシュレス化の取り組みなどを見ると、単純に「衰退産業」とは言い切れない。
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