複数の隊が連携し、実災害に近い環境下で水難救助訓練ができる
東京消防庁の水難救助訓練の様子。年間約40回行われるという
この施設が別の顔を見せるのは、東京消防庁の水難救助訓練などが行われているときだ。
どんな訓練が行われているのか。東京消防庁の、佐藤良太(さとう・りょうた)さん(警防部救助課訓練係長、消防司令)、灘波智之(なんば・ともゆき)さん(足立消防署 綾瀬水難救助隊隊長、消防司令補)、村山昌大(むらやま・しょうた)さん(警防部救助課救助係、消防士長)に聞いた。
訓練の頻度は、2024年から79回開催され、延べ1600人以上が参加している。訓練内容としては、人が溺れている場合や、水底に沈んでしまった場合などを想定して行われる。
「これまで、都内6署に配置されている水難救助隊は当庁保有の訓練用プールや管轄区域の河川で主に訓練を実施していました。河川での訓練では航行船の往来もあり、訓練中の安全監視が必須です。しかしこの競技場は、占有空間であり、風が吹くなど、実災害に近い環境で訓練に専念することができます。水中では、足に装着するフィンの扱い方を間違えると、砂を巻き上げて視界を悪くします。そうならないようにするためのフィンコントロールの訓練にもなります」(村山さん)
東京消防庁の佐藤良太さん、灘波智之さん、村山昌大さん(写真左から)
隊員同士の意思疎通を図る訓練にも適しているという海の森水上競技場で行う訓練は、他の隊と2隊で行うことに意味があるというのは灘波さんだ。
「実際の災害では水難救助隊2隊が現場で活動することが多く、共に訓練することで、各隊長の考え方や隊の動きを実際の目で確かめられますし勉強になります。また、各隊のレベルアップにもつながります」(灘波さん)
佐藤さんは2隊で行う意義について
「2隊で行うことにより、より実災害に近い形で訓練を行うことができます。水難救助事象は緊急性が高く、1秒でも早く要救助者を救出するためには、各隊の能力のみではなく、緊密な連携が特に重要であるため本訓練を参画しています。この競技場で向上させた能力が、より多くの人命救助に直結すると考えています」
と話してくれた。
カヌー・スラロームセンターと海の森水上競技場は、自らの限界に挑戦する選手を支えるとともに、人々が安心して、そして豊かに暮らすための施設として活用され、さまざまな価値を提供している。