北朝鮮でスマホ700万台、電子マネーも乱立 便利さの裏で強まる国家監視

スマホで自由拡大どころか「以前より監視される可能性」

   端末の価格は、おおむね200~600ドル程度。ほぼすべてが中国製で、北朝鮮の貿易会社が中国の工場で独自ブランドのロゴを刻印し、北朝鮮国内で専用ソフトを組み込んで販売する。ウィリアムズ氏が確認したブランドは26にのぼる。

   国内で開発されたスマホアプリは1500本を超え、50以上の組織が提供している。電子マネーも少なくとも5種類あり、銀行やIT企業が競争している。鉄道やバスの乗車券、高速道路料金、商品の購入などに使える決済アプリもある。

   北朝鮮ウォンだけでなく、米ドル、ユーロ、人民元に対応したアプリもある。利用者が銀行やITセンターに50ドル札を持ち込むと、アプリに50ドル分がチャージされる。この仕組みには、国民の自宅などに眠る外貨を国家が吸収し、海外からの物資購入などに使えるようにする狙いがあるとウィリアムズ氏はみる。

   だが、スマホの普及と、北朝鮮が改革・開放に向かっていることとは別問題だ。北朝鮮のスマホはインターネットに接続できず、国際電話の発着信もできない。政府の電子署名が付いていないアプリや動画は開けない仕組みになっている。

   携帯電話が圏外から通信網に再接続した際には、端末の識別情報と位置情報を記したショートメッセージが、利用者に見えない形で自動送信される機能も確認されたという。ウィリアムズ氏は

「政府は国内経済の改善に技術を使うが、社会生活の自由は与えていない。スマホを持ち歩くことで、以前より監視が強まる可能性さえある」

と説明。「社会統制はいささかも緩んでいない」として、

「改革・開放ではなく国家の目的に特化した技術利用だ」

と強調した。

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