「手の空いている人に渡す」だけでは解決しない
ただし、仕事を分散すれば済むわけでもありません。経験や知識のない人に、いきなり難しい仕事を渡せば、結局は元の担当者がやり直すことになります。
例えば、顧客への提案業務なら、情報収集、論点整理、資料作成、顧客への説明といった工程に分けて考えます。そのうえで、まずは情報収集を別の社員に担当してもらう。次は資料の一部を作成してもらう。習熟に合わせて、担当できる範囲を広げていきます。
大切なのは、教える側の負担も含めて計画することです。「新人に教えておいて」と追加するだけでは、負担はむしろ増えます。指導を依頼するなら、その期間は何を減らすのか。誰が補うのか。管理職自身が決める必要があります。
また、すべての仕事を全員が同じ水準でできるようにする必要はありません。高度な判断は専門性のある社員に任せつつ、その判断に必要な準備や定型業務を周囲が担う。重要な仕事には、補佐役をつける。こうした役割の組み合わせも有効です。
優秀な社員が、いつまでも同じ問い合わせに答え続ける状態から、より難しい課題に取り組める状態へ移れるか。仕事の分散は、その視点で進めると意味が明確になります。