野菜を元気にすれば、人も元気になる!

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「おはようさぁ~ん」

   セレン副社長の西田浩が陽気に会社に到着したとき、私は朝バナナダイエット中だった。

「いやいやど~も~」

と少し乱れた髪を手櫛で整えながら私の隣のデスクに座り、メールチェックをはじめる。

>>前回コラム「『元気な野菜で人を元気に!』 農業支援ベンチャーが船出した」

生保のファンドマネージャーから36歳で起業

セレン社長の三輪(右)が語る「土の話」に興味しんしんの西田
セレン社長の三輪(右)が語る「土の話」に興味しんしんの西田

   カジュアルシャツの上に、肩からセーターを羽織ったラフなスタイル。一見何者だかよくわからない自由人に見える西田だが、少し早口でロジカルに話す様子から、とても博学で頭の回転がいいことがわかる。

   西田は世の人が一般的にいうエリートだ。慶応大学卒業後、生命保険会社に入社。海外駐在員、人事部、その後、ファンドマネージャーとして投資運用の担当になった。さらにはテレビに出て解説までしちゃう。金融の資格だったらほとんどもっていて、いわゆる虚業の頂点を極めた人だ。

   そして、36歳で独立して起業。「世の中コミュニケーションがうまくいけばもっと素敵になれるのに」と“コミュニケーションデザインカンパニー”ソフィアをたちあげた。

   ソフィアの合言葉は「人と会社を元気にします」。

   社員の元気が会社の元気を生み、会社の元気が社員を元気にする。会社を起点とし、社員一人一人を通じて社会へと元気が伝播していくようなコミュニケーションをデザインすることで、社会の中でより多くの人が元気を感じられるようにしたい。そんな願いを持って、コミュニケーション戦略全般における支援を行っている。

   今ではナレッジを武器に大企業の社内コミュニケーションコンサルやブランディング IRコンサルを手がける集団にまで成長させた。

「会いたいと思った人には必ず会いに行く」

   そんな西田が、農業コンサルタントの三輪晋と意気投合してできたのがセレン。私が社長秘書を勤めている農業支援ベンチャーだ。これまでカネとヒトにかかわる仕事しかしてこなかった西田が農業支援の会社に携わるなんて誰も想像できなかったことだろう。

   そもそもはじまりは今年の5月上旬の飲みの席。赤坂にある馴染みの小料理屋で会社帰りに西田と私は、鹿児島の芋焼酎を飲みながら煮物をつまみに、ソフィアの合言葉や元気の伝播について話をしていた。

「元気って聞くと思い出す人がいるんですよ」

   私は三輪の話をした――「土ごと発酵」という農地改良をしていて野菜を元気にしている人なんですよ。「元気な野菜は元気な農家がいないとできないから、『人ごと発酵』も大事なんだ」と話しているんですよ――

   西田は身体を前のめりさせながら、いつもより真剣な目で私の話を食い入るように聞いていた。

「いや~深いねえ。その人どこにいるの? 宮崎? 会いに行こうよ! 人を元気にするのも野菜を元気にするのも何か共通項があるはずだよ!」

   えっ?東京から宮崎に会いに行くの? キョトンとする私にかまわず、西田は言った。

「僕は今まで会いたいと思ったら必ず会いに行くんだ。確かめなきゃ気がすまないからね」

   約10日後、私たちは実際に宮崎に飛んで、三輪に会った。顔あわせをした瞬間、二人の頭には電流が走ったようだ。

   三輪が実践してきた「土ごと発酵」「人ごと発酵」と西田の目指すものはとても近かった。野菜を元気にすれば、人も元気になる。話は弾み、一緒に事業をやろうということになった。それからは10月のセレン設立まで、嵐のようなスピードで物事が進んでいった。

「思いがムーブメントに繋がるんだよ」

   西田は三輪と一緒にいくつもの畑を回った。過去のファンドマネージャーとしての経験や経営者としての体験から、三輪が提唱する「土ごと発酵」「人ごと発酵」を分析した。そして、「これは絶対正しい!」と判断した。

   西田はこれからの残りの人生をかけて、三輪と日本の農業をなんとかしたいと思っている。それが使命だとまで言っている。

「“命を使う”と書いて使命なんだよ。残りの人生、もっと日本や地球のためになんとかしなきゃいけないだろ。たとえ一歩ずつだとしても、やらないよりやったほうがましだろ。思いがムーブメントに繋がるんだよ」

   映画でもドラマでもなく、すぐ隣のデスクに座っている西田が熱く力強い眼差しで語っている。その台詞を聞いて、私は羨ましく思った。

セレン社長秘書 大倉野あやか

>>前回コラム「『元気な野菜で人を元気に!』 農業支援ベンチャーが船出した」



畑にかよう社長秘書の日記

おいしい野菜のパワーで日本人を元気にしよう! そんなミッションをかかげるベンチャー企業が2008年10月、誕生した。人事コンサル会社のプランナーから一転して農業支援事業にたずさわることになった社長秘書が、新会社の奮闘ぶりを描く。



「食を通じて人を元気に。」を合言葉に、2008年10月1日設立。再現性のあるサスティナブルで「儲かる(=夢のもてる)農業」の実現を目指し、農業技術支援だけにとどまらず、人財教育、地域コミュニティの再構築など農業を通じて、日本各地の地方復興、就農者の増加のために現代農業の活性化に邁進している。
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