2020年 10月 24日 (土)

「心の病になったからこそ人生が豊かに」 想田和弘監督インタビュー(下)

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   ドキュメンタリー映画『精神』は、岡山県の精神科診療所「こらーる岡山」を舞台にして撮影された。そこにはさまざまな人生を歩んできた人々がいた。「モザイクをかけない映画」を撮るため、患者の一人ひとりと話をして、素顔を出すことを了承した患者のみにカメラを向けた。

>>「モザイクかけたら人間は描けない」 想田和弘監督インタビュー(上)

患者さんの「告白」を映画に入れるべきか、すごく悩んだ

「僕の映画は発見が命」と話す想田監督。先入観を抱かないために、撮影前のリサーチや台本書きは行わないという
「僕の映画は発見が命」と話す想田監督。先入観を抱かないために、撮影前のリサーチや台本書きは行わないという
――ご自身の体験から「精神の病」に対する問題意識がずっと残っていたということですが、今回の映画を撮るきっかけはどのようにして生まれたんですか?
想田   たまたま僕のカミさんのお母さんが、こらーる岡山と仕事上の関係をもっていたので、そこに撮影を申請しました。診療所の活動者会議(患者とスタッフによる議決機関)で話し合ってもらって、「どうぞ来てください」ということになりました。ただ、映りたくない人もいるから「一人ひとりに許可をもらってください」と言われました。

――撮影をOKしたのは10人に1人か2人の割合ということですが、それでも何人もの患者さんが顔を出して話をしていたのにはびっくりしました。そのうえ、語られる内容もかなり深刻なものだったので驚きました。たとえば、自分の赤ちゃんを手にかけてしまったとか、小さな子どもがいて食えないから売春的なことをやっていたとか、普通はなかなかしゃべらないだろうということまでしゃべっているのが驚きでした。

想田   そうですね。撮影している僕も、驚くことの連続でした。特に、お子さんを失われたお母さんのことは驚いたし、心が痛みました。そして、あのシーンを本当に映画に入れていいのか、すごく悩みましたね。もちろんご本人はご自分の意思でお話しになったわけですけど、僕にはカットするというチョイスもあるわけですからね。

――でも、カットしなかった。それはなぜですか?

想田   それは、彼女を本当に理解しようと思ったら、あの話は避けて通れないと思うんですよ。あの話は、彼女がつらい、あるいは問題を抱えているということの核心にあると思うんですよね。その話を抜きにしてお茶を濁せるのか、ということですね。お茶を濁すんだったら、「じゃあ、この映画って何?」ということです。

   あとは、取り上げ方にもよるんじゃないかと思ったんですよ。つまり、いわゆるセンセーショナリズム的に、事件みたいなものを、起こったことの強烈さみたいなことだけを取り上げてやるのか。そうでなくて、事件に至った長い経緯も描くのか。お母さんとの確執があったとか、旦那さんとの確執があったとか、医者にこう言われたとか、追い詰めに追い詰められて初めて、悲しい結果に繋がってしまうわけじゃないですか。そういう文脈をちゃんと描けるんだったら、僕としては、ある種の責任を果たしたことになるんじゃないかと思ったんですね。
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