日本経済の回復には、みんなで「借金」すればいい?

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   この不況下では、「ボーナス一括払い!」なんて看板を見ても空しくなるだけ。でも、新商品は気になるし、気晴らしに遊びにも行きたい。かといって、先立つものがない。あきらめるしかないか。まさか、借金して遊ぶなんて、危ないよなあ・・・。

   しかし、リーマン・ブラザーズ勤務の経験を持つ金融コンサルタント、小林幹男は「借金は経済を回すためには必要なもの」「消費者金融などを圧迫する現在の制度は、どこかおかしい」と語る。そして、お金の貸し借りがやりにくくなったときに起こると考えられる問題点を、『「貸せない」金融 個人を追い込む金融行政』中で、「ディズニーリゾート」を例に説明している。

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借りられなければ「負のスパイラル」にはまる

   消費者はそれぞれが異なった収入額をもって生活をしている。収入の低い人は月の給料に合わせて生活を抑えるので、高所得者とは消費に格差が生まれることになる。だが、それでも低所得者も高所得者も同じように一見すると贅沢に見えるものにお金を投じることがある。

   たとえば、ディズニーリゾートがそうだ。あいかわらずの人気スポットで、08年度の来場者は過去最高の2722万人以上にのぼったそうだが、そのなかには、年収200万円の人も年収1000万円の人もおり、みなあの空間では等しく消費をしているのではないだろうか。

   ただ、年収200万円の人はディズニーリゾートに行くのに少し無理をしているかもしれない。例えば彼女の誕生日に思い切って奮発して2日間で10万円を使ったとしたら、どこかでやりくりをしなくてはいけないだろう。それでも翌月以降も定収があるし、数ヵ月後にはボーナスが待っているかもしれない。いまは懐具合が寂しいが、でも彼女の誕生日は今月だし、どうにかしたい……。

   そういう人のために次の収入までの「つなぎ融資」をしてくれる場所、それが消費者金融であり、消費者ローンだ。10万円を1ヶ月借りて翌月一括で返すだけなら、そんなに金利もかからない。一例としてあげるならば、年利18%の場合、利息は1500円となる。

   もし、この「つなぎ融資」がなければどうだろう。年収200万円の人が、今月はちょっと苦しいと感じればディズニーリゾートを我慢しようとならないか。毎月の生活費だけで生活しようとなると、常につましい暮らしにならざるをえない。

   それはそれで美しいが、世の中の消費は確実に減る。消費が減れば、ほかの誰かの懐に入るはずだったお金も確実に減る。その誰かも消費を差し控える。そのような負のスパイラルになっていく。ひとりが借り入れを我慢することは、日本経済全体にとって確実にマイナスにつながることになるのである。

小林幹男『「貸せない」金融 個人を追い込む金融行政』〔角川SSC新書 33頁~34頁〕より)

(会社ウォッチ編集者Sのひとこと)
理論的には、わかる。使わないで貯めこんでしまえば、カネは回らなくなってしまう。が、借りてまで使う必要があるのか。消費者金融でクビが回らなくなった人たちだって、最初は返せる見通しがあったかもしれない。しかし、人生には不測の事態があふれている。いま確かなことは、「数ヵ月後にはボーナスが待っているかもしれない」という見通しは甘い、ということくらいではないか。

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「貸せない」金融―個人を追い込む金融行政 (角川SSC新書)
「貸せない」金融―個人を追い込む金融行政 (角川SSC新書)小林 幹男

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