2024年 4月 19日 (金)

「ファントム・リング現象」に悩む人たち

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   おかげさまで、前々回の記事「『ファントム・リング現象』って知ってる?」は、多くのアクセスと反響をいただきました。

   実際にファントム・リング現象を体験したという人の話も、たくさん聞くことができました。

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ストレス要因はケータイそのもの?

   20代の女性は、こんな話をしてくれました。

「ケータイが鳴った、と思ってカバンから取り出すと着信していない。車内や店内にいる時だと、ゴソゴソやってどうにも恥ずかしいというか、キマリが悪いですよね。私は、ケータイで時刻を確認したフリをして誤摩化します(笑)」

   30代の男性会社員は、こう言います。

「着信音や着メロって、オフィス内や電車内では迷惑になるし、かっこ悪いじゃないですか。だから、普段はバイブだけにして、ズボンのポケットに入れてるんです」

   で、ファントム・リングに遭遇するそうです。

「たしかに、ポケットのなかでバイブが振動した感じなんですが、電話もメールも来ていない。で、カバンに入れておくと、今度は着信に気づかないんですよね。そんな時に限って、急ぎの用事だったりするし(笑)」

   通勤中や移動中はともかく、電波オフにするのをうっかり忘れて会議や相手先との商談に臨んだ時が最悪なのだとか。

「会議や商談の最中に、ケータイを気にしたりチェックすること自体、失礼だとわかってるんですけど、もしかして緊急の連絡か、と気になって仕方なくなるんです」

   会議や商談が終わるやいなや、ケータイをチェックするのですが、そんな時に限って、案の定、着信していません。

「ケータイって、もしかして一番のストレス要因なのかと思ったりもしますね。でも、ケータイを切っておくなんて、怖くてできやしませんし…(苦笑)」

電源を切ってみたときに限って

   休みの日ぐらいと、ケータイの電源を切ってみたことがある20代の男性もいました。

「実家暮らしだし、彼女もいないし、丸一日ケータイなしでやってみようと思ったんです」

   しばらく前の土曜日のことだったそうです。

「せっかくケータイ持ってないんだからと、久しぶりに映画館や美術館に行きました(笑)。着信音がしたり、着信チェックでパタパタ開け閉めしたりしなくて済むので、ゆったりと鑑賞できて良かったんですが…」

   翌日曜日になって電源を入れてみると、電話とメールが計10本ほど着信していました。

「学生時代の友達で、関西勤務になっていたやつからでした。出張で本社に金曜から来て一泊していて、帰るまでに時間が空いたので久しぶりに会おうと連絡してきてくれてたんです。間が悪いったら、ないですよ」

   友人は、学生時代によく行った喫茶店にいたらしく、最後のメールには「忙しいみたいだけど、体にはお互い気をつけような。じゃ、また次回」と書いてありました。

「いや、もう、何か大事な宝物を川に落としちゃったような気になって…。慌てて電話して、どうしても用事があってごめんな、って謝りましたけど、心は晴れないですね」

   あってもなくても困ったことになりがちなケータイ。

   持病と上手く付き合うしかないのと同じようなもの、と言ったら言い過ぎでしょうか。

井上トシユキ


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井上トシユキ
1964年、京都市出身。同志社大学文学部卒業(1989)。会社員を経て、1998年よりジャーナリスト、ライター。東海テレビ「ぴーかんテレビ」金曜日コメンテーター。著書は「カネと野望のインターネット10年史 IT革命の裏を紐解く」(扶桑社新書)、「2ちゃんねる宣言 挑発するメディア」(文藝春秋)など。
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