民間給与の減り幅は過去最大 強まる「公務員も下げろ」の声

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   民間企業に勤める人が2009年に受け取った平均給与は405.9万円で、約20年前の水準まで下がっていることが国税庁の調べでわかった。一方、国家公務員一般職の平均給与は、2009年度で635.6万円。ネット上には「公務員の給料高過ぎ」と批判が相次いでいる。

男性は前年比で33万円の収入減

どこで下げ止まるのだろうか
どこで下げ止まるのだろうか

   国税庁の調査は、パート・アルバイトを含む従業員および役員が対象で、公務員は含んでいない。前年比で23.7万円減、5.5%のマイナスで、ともに過去最大の下げ幅だ。ピーク時だった1997年と比べて61.4万円下がっており、1989年(402.4万円)とほぼ同水準だ。

   性別で見ると、男性が499.7万円で、女性が263.1万円。金額は男性の方が高いが、前年比下げ幅では女性が7.9万円なのに対し、男性は32.8万円と格段に大きい。これだけ大幅に給与が下がると、基本的な生活設計も立てにくくなる。

   ネット上には、先行きへの不安を漏らすコメントが広がっている。

「いま子供を作る奴らってさ、今後20年以上も稼ぐ自信があんのかな」
「家なんて買えねえだろ。土地暴落しろや」

   一方で、「(20年前の)バブル期は物価が高かったから、デフレで生活は少し楽なはず」という指摘も。当面は自助努力で切り抜けざるをえないとはいえ、国家公務員の給与が民間の水準とかけ離れて高いことへの批判の声は強まるばかりだ。

   菅首相が10年8月に受け取った人事院勧告が、もしもそのまま実施されることになれば、国家公務員一般職の平均年間給与は633.9万円となる。勧告前の調査結果から9.4万円の減少とはいえ、民間の平均よりもずっと高い。

   このような官民格差は、なぜ生じるのか。それは、人事院勧告の「俸給表」の内容を決める調査の方法に原因がある。

「民間準拠」の対象は大手企業

   人事院勧告の給与改定は、民間企業給与の調査に基づく「民間準拠」の手続きを踏んで決められる。2010年度の人事院勧告では「民間との月給の格差は757円」として、これを解消するために月例給の引き下げ改定を行うとしている。

   しかし「準拠」の対象となる民間企業は、「従業員50人以上かつ事業所規模50人以上」が条件。当然ながら大手企業の給与水準が反映されやすくなり、大多数を占める中小・零細企業の水準とはかけ離れることになる。

   つまり、現状の計算方法では、官民の給与差は、ほとんどないと認識されているわけだ。このような公務員給与の決定方法について、民間閣僚の片山総務大臣は「現在の調査の形態が唯一絶対では必ずしもない」と、見直しを匂わすコメントを残している。

   一方、国家公務員の労組団体である国公労連は、人事院勧告に対し「職員の生活と労働の実態を何ら顧みていない」と断固抗議すると声明を発表している。ネット上には、

「悔しかったらお前ら公務員になればいいじゃん」

と挑発するコメントもあるが、具体的な給与水準を決めるのは、国民の代表である国会。臨時国会中の給与法改正によって決定するとみられるが、勧告の内容がどのような形で反映されるか注目されるところだ。

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