結婚も「アナログ」的産物 人には数値化できない魅力がある

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   前回、就職活動で苦戦している人は、デジタルからアナログに軸足を移してみれば?ということを書いた。ネット中心に活動して何十連敗中という人は、個人の魅力をデジタルでは十分に伝えられていない可能性があるという話だ。

   後で読み返していてふと気付いたのだが、これって実は、結婚にもあてはまることかもしれない。というのも、結婚をデジタルで見極めようとする人ほど、たいがい途中で挫折しているからだ。

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デジタルにこだわれば平行線に終わる

   たとえば「結婚相手の学歴は、最低でも“マーチ(明治・青学・立教クラス)以上”」とか「女子アナ系のお嬢様で、年齢は○○歳以下」と言ってるような人は、誰でも一人くらい心当たりがあると思うが、たいてい「おひとりさま」期間の長い人だ。

   こういう人たちは、まずデジタルで相手を絞り込もうとしているわけだが、世の中そんなに都合よく進むものではない。

   一方、渉外弁護士として3000万円以上稼いでいるのに、合コンでは絶対に仕事や年収の話はしないという友人もいる。いわく「そういう数字で判断されるのがイヤだから」なんだそうだ。

   彼なんかは「会社名で志望する学生はいらない」という企業とそっくりだろう。どちらが良い悪いという問題ではないのだが、結果的に両者が交わる可能性はとても少ない。

   人間の魅力と言うのは、必ずしも数値化できるものばかりではない。学歴だの年収だの、数値化可能な部分は氷山の一角にすぎない。

   肩書や年収でフィルターをかけてしまうということは、水面下に隠れた他者の魅力の大部分を、自ら切り捨ててしまうということだ。

   いや、こんなことはみんな分かっているはずだ。すごく仕事ができる人や、誰もが振り返る美人が、必ずしも一緒にいて楽しい人とは限らない。「美人は三日で飽きる」とはよく言ったものだと思う。

   やはり「今の職場には出会いがない」と嘆いてばかりいる人は、アナログから目を背けて苦戦する学生に似ていると思う。

結婚は何歳でも、何度でもできるから

   思うに、結婚というのは一種の『ブラックスワン』だ。タレブが指摘したように、その存在が予測できず、見つけたときには強いインパクトをもたらすが、いつしか当たり前のようになる。

   自分が生涯かけて愛する人というのは、これこれこういう条件のエリアに出現するはずだと誰もが勝手に思っているのだけど、まあたいていの人は、そことは違うエリアに運命のパートナーが出現するものである。

   「清純で優しくて、でもちょっとばかりグラマーな子」がいいという男は多いが、そんなのは現実には存在しないのだ。

   ついでに言っておくと、先週と同じようなテーマについて書いているのに、日本の就活と違って全然悲壮感がないのは、結婚が「何歳でも、何度でもできる」からだろう。

   仮に“終身結婚制度”だったと想像してみるだけで、選択肢のない雇用制度がいかに恐ろしいものか実感できると思われる。

城 繁幸

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人事コンサルティング「Joe's Labo」代表。1973年生まれ。東京大学法学部卒業後、富士通入社。2004年独立。人事制度、採用等の各種雇用問題において、「若者の視点」を取り入れたユニークな意見を各種経済誌やメディアで発信し続けている。06年に出版した『若者はなぜ3年で辞めるのか?』は2、30代ビジネスパーソンの強い支持を受け、40万部を超えるベストセラーに。08年発売の続編『3年で辞めた若者はどこへ行ったのか-アウトサイダーの時代』も15万部を越えるヒット。ブログ:Joe's Labo
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