若者は「羽鳥アナ」を目指せ

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   今年の3月に日テレを退社しフリーになったばかりの羽鳥慎一アナが、同局の看板番組である「24時間テレビ」の司会に抜擢されたそうだ。

   つい最近、自社を辞め、現在は他局の朝の顔となっている人間を看板番組に抜擢するのだから、これは結構すごいことだ。従来の日本企業の価値観からすると思い切った決断だと思う。

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法改正なしでも優秀層は流動化する

   ただ、これはどちらにとっても悪い話ではない。きっちり仕事内容に応じた報酬を手にできる羽鳥氏はもちろん、(終身雇用だとかその後のポストだとか)余計なしがらみを気にすることなく、現時点で考えられる最高の選択肢を時価で活用できる日テレにとっても、合理的な選択である。

   滅私奉公中の生え抜きは面白くないだろうが、能力のある人間が美味しい仕事と高い報酬を手にするのはごく自然なことなのだ。

   ところで、今回の一件は、日本の雇用の将来を指し示している。

   雇用の流動化と言うと、「法改正して解雇規制を緩和して~」と連想する人が過半数だと思われる。というか、僕自身、以前はそう思っていた。そして、それは恐ろしくハードルの高い政策だ。

   ただ、実際のところは、正社員のメリットよりデメリットの方が多いと判断した優秀層から、自発的に流動化していくだろう。

   以前も書いたように、1社に縛り付けられて働くよりも、独立して複数社から業務を請け負った方が、スキルのある人間にとってはメリットが大きいからだ。年金等、社会保障の崩壊がこれに拍車をかけている。

   最終的には、スキルが必要で報酬も高い仕事は流動化し、その他ゼネラリスト的業務のみ従来と同じ賃金体系(ただし、賃金水準は相対的に大きく低下する)に取り残されるはずだ。

   辞めた会社の看板を背負って仕事を請け負う羽鳥アナは、まさに時代の先端であり、若者が目指すべきロールモデルと言っていい。それを是とした日テレの判断にも、今回は素直にエールを送りたい。


※追記:もう一人の総合司会である西尾由佳理アナも、つい先日、同番組放映後の退社とフリー転向を発表した。同じ仕事をする人間の給与水準が異なれば、低い方が流動化するのはごく自然な流れである。

城 繁幸

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人事コンサルティング「Joe's Labo」代表。1973年生まれ。東京大学法学部卒業後、富士通入社。2004年独立。人事制度、採用等の各種雇用問題において、「若者の視点」を取り入れたユニークな意見を各種経済誌やメディアで発信し続けている。06年に出版した『若者はなぜ3年で辞めるのか?』は2、30代ビジネスパーソンの強い支持を受け、40万部を超えるベストセラーに。08年発売の続編『3年で辞めた若者はどこへ行ったのか-アウトサイダーの時代』も15万部を越えるヒット。ブログ:Joe's Labo
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