中国が豊かになるのは、日本にとってよいことだ

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   オーストラリア人の友人から、こんなことを言われたことがある。

「オーストラリアは、世界のどの国からも遠い。でも日本は、隣に中国という巨大な生産地・市場があってうらやましい」

   それに異論はない。貧しい隣人よりも豊かな隣人をもっていた方が良いのは当然だ。もしも今の中国が北朝鮮のように貧しかったら、と思うとぞっとする。日中は隣国同士、一緒に繁栄していくというのが理想的だ。

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賃金上がれば日本製品が売れる

   なので、中国が将来もっと豊かになればなお良い、ということになる。そうすれば以下のようなメリットが生まれるだろう。


(1)日本のモノをもっと買ってもらえる

   中国は世界の工場と言われるように、世界中に商品を供給している。それは何といっても、安くて勤労意欲の高い労働力のおかげだ。しかし、賃金が安いのが災いして消費の力は弱い。中国人にもっとモノを買ってもらうには、彼らにもっと豊かになってもらう必要がある。

   特に日本製の商品の多くは比較的高価なので、中国人が今よりかなり豊かにならないと、なかなか売れるようにはならないだろう。実はアメリカが中国に元切り上げを要求してきたのも、これと同じ理屈だ。元高・ドル安を誘導することで、中国人を相対的に「豊かに」しようというわけだ。


(2)世界経済の安定に貢献してもらえる

   このところ経済状況が思わしくない欧米諸国。支援の手を差し伸べることができる国といえば、中国ぐらいしかない。中国に国債を大量に買ってもらっている米国に加え、ギリシャ問題に端を発する金融危機に見舞われているヨーロッパも、中国の資金力に大いに期待している。

   先日の温家宝首相の渡欧で、ドイツのメルケル首相が彼をいかに歓待したかを見てもそれがわかる。今や世界の経済・金融の秩序の維持に中国は欠かせない存在となりつつある。


(3)日本の国債をもっと買ってもらえる

   我が国の財政は危機的状況にある。震災の復興資金を捻出しないといけないのに、国民は増税にノー。そこで選択肢として浮上するのが、中国からの借り入れである。中国から借金するのを心配する向きもあるが、他に方法がないのだから仕方がない。

「自分のために何がベストか」冷静に考えるべき

   日本国債を中国に買ってもらうメリットについて、少し補足しておこう。実は国家が兆円単位の借金をする時は、借りた側の立場が一方的に弱くなるとは限らないのだ。

   例えば米国債は、残高14.7兆ドル(1,172兆円)のうち中国が1.5兆ドル(120兆円)、日本が0.9兆ドル(72兆円)を保有している。この場合に借り手の米国には、万一の際にはドル札を大量に刷って返済にまわすという裏ワザがある。

   貸し手の日本や中国としてはそんなことをされたら大変だが、止める手段はない。日本が借り手の場合も同様だ。眠れない日々が続くのは貸し手、ということになる。

   もし中国が国債を大量に購入してくれたら、それを使って東北の復興を進めることが可能となるだろう。そして予定通りに復興を遂げ、満期日にきちんと返済すれば、万事めでたし、ということになる。

   日本人が国債を買っていても、国内でぐるぐるカネが回るだけで、国全体の資金量は増えない。ぜひ中国をはじめとする外国人にたくさん買ってもらいたい。

   しかし日本では、中国人が貧しいままでいることを望んでいる人もいる。あたかも、

「中国人が自分より豊かになるとプライドが傷つけられる」

と思っているかのようだ。

   さもしい根性だ。やたらと他人と比較して一喜一憂するというのは、日本人の悪い癖だと思う。自分が隣の人よりカネがあるかどうか、なんてどうでもよいことだし、周りが豊かであるほうが自分も豊かになる可能性が上がるのは明らかだ。

   我々は、自分が豊かになるには何をするのがベストか、を考えて行動していくしかない。そうすればおのずと答えが導き出されるだろう。

小田切 尚登

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小田切尚登
経済アナリスト。明治大学グローバル研究大学院兼任講師。バンク・オブ・アメリカ、BNPパリバ等の外資系金融機関で株式アナリスト、投資銀行部門などを歴任した。近著に『欧米沈没』(マイナビ新書)
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