シンガーソングライターの坂詰美紗子さんが、ブログで「割り勘」に苦言を呈したことをきっかけに、ネット上で賛否両論が交わされている。2人で外食した場合を例にあげ、400円のジンジャエールを1杯しか飲まない人と、700円のビールや焼酎を4杯飲んだ人が、同じ金額を支払うのは「違う」と思うと明かし、「フェアでいこうよ」と呼びかけるものだ。「金は場所代みたいなもの」なのか水やソフトドリンクと比べて、アルコールは体内に吸収されるスピードが速く、短時間で多くの量を飲めるといわれる。単価も、ソフトドリンクより高いことが多い。このため、一緒に食事をしていても同じ時間内に注文する金額は、お酒を飲む人と飲まない人では大きな差が出るわけだ。ブログのコメント欄には、坂詰さんの意見に賛成する意見が掲載されている。「同感。割り勘おかしい。自分は酒飲む奴とは割り勘しない」「ノンアルコール組の気持ちを代弁してくれて、ありがとうございます。そーなんすよねー!そーなんすよねー!でも言えなーい!」お酒を飲まない人たちの間には「割り勘負け」という言葉もあると不満をあらわにする人がいる一方、中には割り勘にしない人もいるという指摘があった。「私の周りは、飲む人は自分から多めに払う人ばかりなので、こういう思いをした覚えがありません。友達に恵まれたのかな?」2ちゃんねるには「アルコール組」と思われる人の意見が見られる。「ケチっていうか、小さいやつだな。飲み会なんか、みんなでわいわい騒いだり楽しむとこだろ。金は場所代みたいなもんだろ。いやなら行くなよ」確かに、大勢の飲み会の後に1円単位で割り勘を計算するのは、あまり感じがよくないし、合理的でもない。しかし、2人きりで食事をした場合と同じように考えるのは、無理があるのではないだろうか。「自分だけ気分よく飲んでいる時点でガサツ」問題は割り勘だけにとどまらず、「そもそも目の前の相手がジンジャエール1杯を持て余しているのに、焼酎含め4杯も頼んで自分だけ気分よく飲んでいる時点でガサツすぎ」「自分もソフトドリンクで付き合うという思いやりが、なぜないのか」という意見もあった。もしも支払いの折半を主張するのなら、お互いが同じように楽しんでいることが前提になるという指摘には、それなりに説得力がある。「飲めないなら、バクバク食えばいいじゃん?」という意見もあるが、坂詰さんは「アルコール人」への対抗策を頭に浮かべるものの、実現しないとつけ加えている。「なんとか、デザートで大逆転狙ってみようかと思って、ティラミスにミルクアイスにクリームブリュレ…なんて考えるけれども、現実的に胃袋もそんなに大きかないわけよ。だからよ、結局、ノンアルコール人は敗者となるわけ」ネット上の批判的な書き込みに嫌気が差したのか、ブログの元記事は削除されてしまった。しかし「仕事に酒はつき物」といった戦後サラリーマン文化が廃れつつある中、「ノンアルコール人」のホンネは、もう少し尊重されるべきではないだろうか。
記事に戻る