先日、友人Aから「何か面白いアプリない?」と訊かれました。Aは収集癖があり、家計簿アプリだけでも8種類をダウンロードしています。単なる収集癖があるだけなので、それぞれ試してみただけで、実際に生活が改善したとかいうことは一切ありません。以前に訊かれた時は、とりあえず「Rio電卓」と「みひろ電卓」を教えておきました。Aは営業マンであり、見積書や企画書を書くことがしょっちゅうあることから、しばらくは面白がっていました。しかし、職場や喫茶店など公の場では実用性がないことがわかり、また要は広告用の媒体であるということも理解したため、すでに飽きてしまったようです。撮った写真の一部を消去できる「スカラド」「画像のアプリなんだけど、Scalado(スカラド)って面白いんじゃない?」2月にデモ動画がYouTubeにアップされ、一部で評判となったカメラアプリ「Scalado」。いまは2つの機能があるようです。撮った画像をその場で、しかも対象をタップするだけでレタッチできます。観光地で記念写真を撮ろうとして、シャッターを切った瞬間、被写体の前を赤の他人が横切ったという時。「ScaladoRemove」を使っていれば、その赤の他人をタップするだけで画面上から消去し、被写体を完全な状態で再現することができます。また、「ScaladoRewind」は、集合写真を撮った場合、いくつかの同じ位置からの画像のなかから、もっとも良い表情の顔だけを選んで、1枚の画像に合成することができてしまいます。「おおっ!これは面白い!」さっそくアンドロイドのスマートフォンでデモ画面にアクセスしたAは、ムダに興奮してはしゃいでいました。「でもさ、これ、いつ使うの?オレもオマエも50歳近いのに彼女いないしさ、家庭もないじゃん。旅行や飲み会なんかでも、面倒くさがって自分から写真を撮るタイプじゃないし、仕事で撮るわけでもないし」そういわれれば、それはそうです。面白いと他人に言いながら、自分ではあまり興味がないのも、要は使い様がありそうで多分ないからです。小さな子どもがいる家庭なんかだと、自分たちも撮ってて楽しいし、お爺ちゃん、お婆ちゃんに送ってあげるという用途、目的もあるでしょう。われわれは、そのようなこととはまったく無縁な生活っぷりです。「うーん、Aさ、ネコ好きじゃん。近所の公園でネコの写真を同じアングルで撮ってさ、ベストなネコ画像をつくればいいんだよ」「カメラ越しに自動翻訳」なんて、かつてのSFだ収集癖があり、休みの日に暇なAの目が、すぐに輝きました。「それはいい!そうする!ネコの画像を撮りまくるわ!」スマートフォン1台、アプリ1つで、Aの休日は最近になく充実したものとなりそうな予感。「ところでさ、これって、いつリリースされるの?」。まだみたいですね。アンドロイド用もiPhone用も、同時にリリースされるんでしょうか?iPhoneアプリといえば「WordLens」も話題になりました。対象となる短文や看板などをiPhoneのカメラを通して見ると、英語→スペイン語、スペイン語→英語に自動的に翻訳されるというもの。「え!そんなの、もう、ドラえもんの世界じゃん!アンドロイド用のもあるの?」アンドロイドを持っていないのでそんなことは知りませんが、Appストアでは無料で配布されています。去年、ニコ生のiPhoneの放送で「Siriの日本語対応は早いと思う」と言いましたが、WordLensも辞書DBの対応でしょうから、日本語バージョンを出すのもそんなに難しくはないような気がします。それにしても、こういったかつてのSFが実現していく驚きというのは、年を取っている方が実感できて楽しいですね。若かった頃、ほんの20年ほど前までは想像上のことだったのが、今になって現実になっているのですから。Aと話していて、年を取るのも悪くないと思った次第です。(井上トシユキ)
記事に戻る