「じゃアサッテね、月曜日に払うカラネー」「ちょっ、お客さまっ、明後日は土曜日です!」「えーとイチマンエン…、1万円入れますネー」「あの、お支払い金額は2万円ですよー!!」ぜえぜえと肩で息をしながら、私はなんとか電話を終わらせました。(あ~、今の説明でちゃんとわかってくれたかな…)少し不安になりながら、話の内容をパソコンに打ち込んで記録します。パソコンの画面に表示されているのは、見慣れないカタカナのお名前。そう、お客さまは外国人なのでした。長い名前を正しく聞き取るのも難しい「アー、ニホンにはしばらく帰らないんだケド…」「え、ええっ!?」(イラスト:N本)督促をしていると、最近アジア圏出身の外国人女性と結婚されている日本人男性のお客様のデータをよく見ます。「中国嫁日記」がベストセラーになっているように、この手の国際結婚はちょっとしたブームなのかもしれません。日本人男性と結婚をすると、外国人の女性は日本の永住権が取得できます。永住権があればクレジットカードを作ることができるので(会社によって審査の基準はまちまちですが)、お客さまの中にも最近外国人の方が増えているのです。いちおう日本語の読み書きができることがカード発行の条件となりますが、中にはどうも怪しい方もいらっしゃいます。電話をとると、いきなり、「ワタシ日本語まったくワカリマセン!」と断言されて冷や汗をかくことも。お客さまを氏名で検索するときも、複雑で長い外国人名は正確に聞き取ることが難しくて苦労します。しかも生年月日は和歴で管理されているので、「昭和何年のお生まれか、わかります?」「ショウワって何?」というやりとりも多々あります。まぁ、当たり前ですよね、和歴って日本にしかないんだし…。日本語に不慣れなお客様には、入金の遅れを説明するのもなかなか難しいのです。「ええっと、お支払いが遅れていて…」「?」「もう銀行から引き落としできないから、コンビニで使えるお支払い用紙で入金を…」「??」「(あ、そうだ英語だったらわかるかな?)イ、イングリッシュOK?」「……チャイニーズOK」(って、説明できるかー!!)携帯電話にかけてみたら「今フィリピンなのー」こういうときには、頼むからちゃんと確認してからカードを発行してくれ! と思わず会社の審査部署に文句を言いたくなってしまいます。でも、外国人だから支払いが遅れるといったことはなく、むしろ延滞率は低いくらいです。ただ、母国に戻られてしまったときは、督促するにも困ってしまいます。「××カードのN本です。お支払いの件でお電話をしたのですが…」「アーすみません、ワタシ今フィリピンなのー。しばらくニホンには帰らないんだケド…」「え、ええっ!?」最近の携帯電話は当たり前のように外国まで通じるのですが、一度母国に帰られてしまうと送金手段もなかなかなく、支払いをしていただくのは難しいのです。まさかフィリピンまで取りに行くわけにもいかないし…。こういったお客さまは、このまま長期延滞の部署に債権が移ってしまうことがほとんどです。また日本に戻ってきたときには、信用情報が悪化していて困ると思うんですが。これからはぜひ外国のお客様にもどんどんカードを利用していただきたいのですが、まだまだ課題は多そうです。(N本=えぬもと)
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