2024年 4月 18日 (木)

社員同士で「残業時間の貸し借り」をしているらしい

社会保険労務士・野崎大輔の視点
会社から「残業代を返せ」と言われかねない不正請求

   言うまでもないですが、これは明らかに不正な残業代の請求に当たります。なぜなら、A君の分の残業代をB君が会社に請求するということは、B君が実際に働いていない残業時間を申請していることになるからです。会社は不正に請求した残業代を返還するよう、B君に求めることもできるでしょう。ただ、原因となったのは、現状の業務量にそぐわない「上限制」であり、これを上司も黙認していたとなると、社員だけを罰するのは気の毒な気がします。ここは、二度とやらないよう注意した上で、別の方法を考えたほうがよいと思います。

   年間を通して業務の繁閑がある場合、「1年単位の変型労働時間制」などにより、一定の期間を平均して上限を超えない範囲で労働時間を調整することが可能です。しかし、これは個人で勝手にできるものではなく、労使協定が必要になります。管理職は一律の上限を決めるのではなく、業務の繁閑を見極めて、このような制度を柔軟に使うべきではないでしょうか。

尾崎 健一(おざき・けんいち)
臨床心理士、シニア産業カウンセラー。コンピュータ会社勤務後、早稲田大学大学院で臨床心理学を学ぶ。クリニックの心理相談室、外資系企業の人事部、EAP(従業員支援プログラム)会社勤務を経て2007年に独立。株式会社ライフワーク・ストレスアカデミーを設立し、メンタルヘルスの仕組みづくりや人事労務問題のコンサルティングを行っている。単著に『職場でうつの人と上手に接するヒント』(TAC出版)、共著に『黒い社労士と白い心理士が教える 問題社員50の対処術』がある。

野崎 大輔(のざき・だいすけ)

特定社会保険労務士、Hunt&Company社会保険労務士事務所代表。フリーター、上場企業の人事部勤務などを経て、2008年8月独立。企業の人事部を対象に「自分の頭で考え、モチベーションを高め、行動する」自律型人材の育成を支援し、社員が自発的に行動する組織作りに注力している。一方で労使トラブルの解決も行っている。単著に『できコツ 凡人ができるヤツと思い込まれる50の行動戦略』(講談社)、共著に『黒い社労士と白い心理士が教える 問題社員50の対処術』がある。
尾崎健一:職場でうつの人と上手に接するヒント
尾崎健一:職場でうつの人と上手に接するヒント
  • 発売元: TAC出版
  • 価格: ¥ 1,050
  • 発売日: 2012/05/21
姉妹サイト

注目情報

PR
コラムざんまい
追悼
J-CASTニュースをフォローして
最新情報をチェック
電子書籍 フジ三太郎とサトウサンペイ 好評発売中