「てへぺろ」「ステマ」「ワイルドだろぉ」――。2012年の流行語が出揃った。意味の分からない言葉もあるが、知らなくても困らないものがほとんどだろう。都内のシステム会社に勤めるAさんに「社内の流行語」がなかったか聞いたところ、意外な言葉が話題になっていたという。それは、石原慎太郎氏が10月の東京都知事辞職会見で使った「セルフィッシュ」だ。投票日前に「とれもろす」も滑り込み辞職の翌週、月曜日の朝礼で社長が声を張り上げてこう言った。「一人ひとりが自分の役割をきちんと果たし、目標達成にまい進しよう。セルフィッシュな行動は許されない!」その日のランチで女性社員たちが顔を揃えたとき、誰からともなくその話題が持ち出された。「今朝の『セルフィッシュ』ってさ、この前の石原さんのマネでしょ。社長って本当にミーハーなんだから…」「石原さんも、『あの醜い日本語でつづられた憲法』と言いながら、『国民全体がセルフィッシュ』って矛盾してない?なんでそこ英語なの、一番大事なところなんだから日本語使いなよって(笑)」それ以来、女性社員は「○○さん、それってセルフィッシュよ!」「セルフィッシュな行動で困るのは自分だから」といった使い方で密かに楽しんでいた。課長は、けげんな顔で聞いていたが、「ふざけているのか?」とも聞けない。そんな感じで、ひと月ばかり遊んでいたそうだ。最近の話題としては、自民党のCMで安倍総裁が連呼している「日本を、取り戻す」。よくよく聞いてみると、別の言葉に聞こえるのだという。「あれって『とれもろす』に聞こえません?これも結構、社内で流行ってますよ。『大口顧客を、ライバルからとれもろす!』とか。電車で女子高生が連呼してたのも見ました」大真面目の選挙戦も、女子にとっては娯楽のひとつになっているようだ。
記事に戻る