2020年 9月 18日 (金)

「最悪のシナリオ」が描けていないから、最悪の状況に陥ってしまう

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「悲観的な予測なんかしたくない。失敗を前提に仕事を始めるようで…」

   経営者がビジネスの構想を練るとき、往々にして理想的な展開を描きがちです。もちろん社内には、最初のうちは予防線を張るようにリスクについて語る社員もいるでしょう。ところが、いざ「やる」段階になると、全体が一か八かの賭けに向かって猪突猛進しがちです。

   本来は「理想的なシナリオ」と「最悪のシナリオ」の両方を持って事に臨み、万一の際の撤退シナリオを睨みながら、慎重に軌道修正していくべきです。最悪のシナリオを深く考えた人だけが、的確な次の一手を打てると言ってもいいでしょう。

健全な危機感を持ち「このままならどうなるか」を考える

明確な戦略を持たない企業が成長できる時代は終わった
明確な戦略を持たない企業が成長できる時代は終わった

   現在、日本の大手企業の中には、巨額の赤字を出して大リストラに着手しているところがあります。この原因は個別にはいろいろあると思いますが、突き詰めれば「最悪のシナリオを描き、それに備えた手が打てなかった」ということに尽きるでしょう。

   GEの元CEO、ジャック・ウェルチは、健全な危機感をもって最悪のシナリオを描くことが、経営者の重要な仕事だと言っていました。業界の動きや利幅、新技術、政治動向などについて集められる限りの情報を使い、「変化しなければどうなるか」「変化したらどうなるか」という2つのシナリオを描きだすよう指摘しています。

   そのシナリオの1つが「最悪のシナリオ」なのでしょう。そして、最悪のシナリオに備えるために、リーダーは「変化の必要性」を訴え、これから何が起きうるか、勇気を出してメンバーへ事細かに説明するよう求めています。

   もしもリストラに至った会社が、あらかじめ「最悪のシナリオ」を明確に描けれていれば、現在のような状況は招いていなかったのではないでしょうか。もしくは、本当は来る最悪の状況に気づいていたものの、残念ながら説明する勇気に欠けていたのかもしれません。

   「最悪のシナリオが到来しても、手を打ってあるからここまでは大丈夫」というところまで考えが及んでいれば、本当の最悪の状況には至らないで済みます。きちんとした見通しに基づく明確な戦略を持たない企業が成長できる時代は終わっているのです。

高城幸司(たかぎ・こうじ)
1964年生まれ。リクルートに入社し、通信・ネット関連の営業で6年間トップセールス賞を受賞。その後、日本初の独立起業専門誌「アントレ」を創刊、編集長を務める。2005年に「マネジメント強化を支援する企業」セレブレインの代表取締役社長に就任。近著に『ダメ部下を再生させる上司の技術』(マガジンハウス)、『稼げる人、稼げない人』(PHP新書)。
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