2020年 10月 1日 (木)

痴漢で逮捕の社員が「否認」 それでも解雇できるのか?

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   都内のある大手企業で、男性社員が痴漢で逮捕されてしまった。出勤ラッシュの満員電車で、服の上から身体を触ったと女子高生から訴えられたという。会社に連絡してきた本人の電話では強く否認していたが、ニュースはすぐに広まった。

   取引先は彼がリーダーを務めるプロジェクトを解消すると言い出すし、部下の若い女性は、ショックで「彼が会社に来るなら自分が辞める」と泣いている。事態収拾のために彼を懲戒解雇しようと思うが、問題ないだろうか――。

逮捕を理由とする解雇が常に正しいとは限らない

本人が否定しているのに、さも本人がやったかのようにして処分を下すのはどうか
本人が否定しているのに、さも本人がやったかのようにして処分を下すのはどうか

   何百人、何千人の従業員を抱える大企業では、このようなトラブルは日常茶飯事だ。状況を見ながら臨機応変に処理することが求められるが、原則はどうなのか。弁護士法人アディーレ法律事務所の刈谷龍太弁護士(東京弁護士会所属)に話を聞いてみた。

「これは非常に難しい問題ですが、現時点で当該社員を懲戒解雇としてしまうと、無効と判断される可能性は高いと思います」

   従業員の逮捕によって、現実にさまざまな影響が出ている。取引先を含めた社会的信用も害されているし、女子社員を含めた会社の内部秩序も乱してしまっている。

   多くの会社では、解雇によって事態の沈静化を図りたいと考えるだろう。しかし刈谷弁護士は、そのような会社の考えに理解を示しつつ、法律的に見ると問題があるという。

「まず、本人が否定しているにもかかわらず、さも本人がやったかのようにして処分を下すことは好ましくありません。さらに言うと、たとえ本人の刑事裁判で無実が認められず、処罰されるようなことになったとしても、それを理由とする解雇が常に正当なものであるということにはなりません」

   裁判例の中には、痴漢行為を理由とした懲戒解雇を有効としたものも存在するが、「行為者が痴漢を取り締まる側の鉄道会社職員であったこと」や「半年前にも痴漢行為で罰金刑に処せられており、降格処分をされていたこと」などの特殊事情があった。

   もしも男性社員に処分歴がなく、痴漢行為が比較的軽微な内容にとどまる場合には、懲戒解雇は行き過ぎという判断がなされる可能性もある。

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