「養育費」だけは離婚しても逃れることはできない
妻が離婚の原因を作った場合には、妻から夫に慰謝料を支払うべきことにもなり、妻が仕掛けた離婚を理由に蓄えを奪われることはない。しかし、子どもの養育費だけは、どうしても支払わなければならないようだ。
「妻とあなたの間に子どもが生まれ、その後に離婚となった場合には、事前にどんな約束を交わしていようが、当然に支払わなければなりません。妻と『子どもの養育費はいりません(放棄する)』という約束を交わしても無効なのです」
養育費は、子どもにとって不可欠なもの。親が勝手に放棄することはできず、離婚後も親である以上は当然支払うべきものとされている。
とはいえ、養育費は結婚生活が継続していても掛かる費用なので、もし離婚して親権が妻に渡っても、この程度は仕方がないと受け入れられるのではないか。
ということで、結論は「Aさんが考えている契約書を作成することは可能だが、実際にはほとんど意味がない」ということになる。もちろん、念には念を入れたような契約書を作れなくはないが、篠田弁護士はもっと大事なことがあるのではないかという。
「Aさんは自立されていて、ご自分のペースが確立されているようです。何かあった時に備えたいというお気持ちも分かりますが、より重要なのは、契約書など交わさなくても信頼できる方を結婚相手として見極めること。そういうお相手が見つかったら、勇気を出してプロポーズしてみるのがよいのではないでしょうか」