2024年 4月 19日 (金)

シンガポールの地下鉄「早朝は無料」 大胆施策で通勤ラッシュ解消目指す

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   誰もが憂うつな朝夕のラッシュアワー。国内の鉄道会社は「オフピーク通勤」を奨励するなど混雑緩和に取り組んできたが、目立った効果が上がっているかは疑問だ。

   世界各地の大都市で事態が深刻化するなか、シンガポールの地下鉄が思い切った施策を打ち出した。早朝に乗車した利用客には、なんと運賃を無料にするというのだ。

7時45分までに主要16駅で降車すればタダ

通勤ラッシュは日本だけのものではないらしい
通勤ラッシュは日本だけのものではないらしい

   シンガポールの地下鉄は「MRT」の名称で知られる。市内の主要スポットはもちろん、中心部とチャンギ国際空港を結ぶ路線もある。市民にとって重要な交通路だが、通勤時間帯の混雑は年々激しさを増している。

   打開策としてシンガポール交通局は、2013年6月24日から1年間、「早朝の乗客は無料」とするキャンペーンを試行することにした。ラッシュが始まる朝7時45分より前までに、指定された16か所の駅で降りる客は運賃がタダになるのだ。

   また7時45分~8時の15分間だけは0.50シンガポールドル(約40円)が正規運賃から引かれる。MRTは通常、最低料金でも1.10シンガポールドル(約87円)はかかるので、無料サービスを1年間利用し続ければ、遠距離通勤者などは相当な金額を節約できるだろう。

   対象となった16駅付近には40を超える公共施設があり、合計約1万4000人の公務員が勤務している。この人数が無料時間帯に地下鉄を利用して早朝出勤すれば、ラッシュ時の混雑緩和につながるというねらいだ。

   NHKによると、ピーク時の朝8時台の利用者はキャンペーン開始週の平日5日間で通常より7%減ったという。最終的には10~20%の緩和を達成するのが目標だそうだ。1年間の実施に伴う費用は7億円ほどかかると見積もられているが、全額をシンガポール政府が負担するという。

   シンガポールに駐在する40代の日本人男性に聞くと、まだ無料サービスを使っていないという。あまりにも早い時間なので、定められた出社時間に合わないためだ。「1度試してみようと思います」と前向きな答えをしていたが、降車後に駅前で時間をつぶす必要があるかもしれない。

「会社が早朝出勤を奨励、義務化しそう」

   実は日本でも、早朝乗車で割引料金を適用する鉄道がある。札幌市営交通では市電を対象に、始発から朝7時までに利用した場合は、通常おとな170円の料金が150円に下がる。

   首都圏では東急電鉄が「早起き応援キャンペーン」を実施。朝7時までに「Suica」か「PASMO」を使って自動改札から入場するとポイントが加算される仕組みだ。毎月10回以上繰り返せば、抽選で商品券や旅行、電化製品が当たるプレゼントもある。ただしキャンペーンへの事前登録が必要で、運賃そのものが安くなるわけではない。

   東急では2009年、この取り組みを田園都市線で試験的に開始。当初は2週間限定の予定だったが、現在では年間通じて行われている。プレゼントも月ごとに品を変えるなど工夫しながら、乗客の混雑緩和を目指している。

   それでもシンガポールの「早朝タダ」のインパクトには敵わない。ネット上には「時間帯によって割引やるのは面白いかも」「これぞ早起きは三文の得」と肯定的にとらえる声が上がっている。

   その一方で、「日本がマネしたら出社は8時前、だけど退社は同じってなるだけだろ」「会社が早朝出勤を奨励、義務化しそう」「いわゆるブラック企業が真っ先にやるだろうな」と、勤務時間が長くなるのを恐れる向きもある。

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