2024年 4月 26日 (金)

メンタルヘルス不全から復職した課長 係長に降格させてもよいか

臨床心理士・尾崎健一の視点
病気の原因が長時間労働なら一方的な降格は難しい

   職務遂行能力により職位を決める観点から、降格はありえるものの、降格の精神的影響で病気を悪化させる可能性も考えておかなければなりません。休職理由がメンタルヘルス不全であることの配慮は必要です。課長職のままで評価・処遇を下げる方法や、係長ではなく課長代理や○○担当課長といった肩書きにするといったショックを和らげる方法も考えられます。同時に、職務遂行能力が戻れば職位や所属を戻す可能性など、希望の持てる可能性についても触れておけるとよいでしょう。

   また、病気の原因が長時間労働やハラスメントなどの業務起因性があるかどうかを十分確認しておかなければなりません。業務起因性がある場合には一方的な降格は難しく、労災の可能性も考慮しなければなりませんので、配慮の内容も幅も変わってきます。十分な配慮と本人との同意が必要です。

尾崎 健一(おざき・けんいち)
臨床心理士、シニア産業カウンセラー。コンピュータ会社勤務後、早稲田大学大学院で臨床心理学を学ぶ。クリニックの心理相談室、外資系企業の人事部、EAP(従業員支援プログラム)会社勤務を経て2007年に独立。株式会社ライフワーク・ストレスアカデミーを設立し、メンタルヘルスの仕組みづくりや人事労務問題のコンサルティングを行っている。単著に『職場でうつの人と上手に接するヒント』(TAC出版)、共著に『黒い社労士と白い心理士が教える 問題社員50の対処術』がある。

野崎 大輔(のざき・だいすけ)

特定社会保険労務士、Hunt&Company社会保険労務士事務所代表。フリーター、上場企業の人事部勤務などを経て、2008年8月独立。企業の人事部を対象に「自分の頭で考え、モチベーションを高め、行動する」自律型人材の育成を支援し、社員が自発的に行動する組織作りに注力している。一方で労使トラブルの解決も行っている。単著に『できコツ 凡人ができるヤツと思い込まれる50の行動戦略』(講談社)、共著に『黒い社労士と白い心理士が教える 問題社員50の対処術』がある。
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