2024年 4月 25日 (木)

移民受け入れれば日本経済はバラ色? 能力高い人材は各国で「奪い合い」

「移民の人材だって国際競争に晒されている」

   移民とは異なるが、日本では2008年度から、経済連携協定に基づきインドネシアやフィリピンから看護師、介護福祉士候補者受け入れをスタートした。厚生労働省によるとこの分野は外国人の就労が認められておらず、国家資格の取得を目指すのを条件に日本に滞在しながら病院などでの実務研修を認める。国としては、単純労働者の受け入れとは一線を画している。

   だが問題は少なくない。候補者は日本語で国家試験を受験せねばならず、難解な専門用語をすべて理解するのは時間がかかる。決められた期限内に試験をパスするのは難しく、母国での経験がある「プロ」でも言葉がネックとなって本来の能力を生かせないままやむなく帰国する例も出ている。

   また、たとえ「高度な能力のある移民を受け入れよう」と積極姿勢を見せても、こういった人材が果たして日本を選ぶのかという疑問もある。米投資顧問会社に勤務し、ウェブサイト「Market Hack」を運営する広瀬隆雄氏は「移民の人材だって国際競争に晒されている」と指摘する。

   移民の国である米国では、今でも新しい移民は入ってきている。IT企業の中心地である西海岸の「シリコンバレー」の場合、アップルやグーグル、フェイスブックといった名だたるハイテク企業で「創業者グループに移民1世、2世」が混じっており、その割合も6割に上ると説明する。さらに慢性的な理系人材不足に悩まされており、「ちょっとデキるソフトウェア・エンジニアなら、1200万円くらいの基本給を払わないと、雇えない」そうだ。果たして日本企業が、同じ土俵に立って優良な人材を引っ張ってこられるだろうか。また日本に魅力を感じてもらえるかも微妙だ。広瀬氏は、最後はこんな痛烈なメッセージで締めくくった。

「『移民さえ日本に受け入れれば、すべては解決する』なんて、愚にもつかないことを夢想する時間があれば、もっとグローバルな競争の文脈から、日本の立ち位置を考え直しては如何?」
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