「6人7国籍」の多様性が生んだ改革アイデア ミシガン大学流の「実践教育」とは(下)

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   (実践教育「上」から続く)前述の通り、某大手宅配ピザチェーンの「混雑都市におけるデリバリーシステム改善プロジェクト」に計6人(7国籍)のMBA仲間と取り組み始めたわけですが、最初の2週間は、一部で議論がヒートアップするなどカオス状態でした。

   状況が一変したのは、ある都市でのフィールド調査から。「このままではヤバイ!」と全員が夜中にホテルの一室に集まり率直な意見と希望をぶつけ合うことに。メキシコ人は「お互いのことをよく知るためにも、きちんとランチタイム、ディナータイムを取ろう」、ギリシャ人は「アイデアはどんどん出すから、話し過ぎたら止めてくれ」、そして私は「ホワイトボードに意見をまとめていくから1時間に1回はチームの方向性を確認しよう」といった感じでした。

「社内では出てこないアイデアが欲しかったから」と高評価

最終的にひとつにまとまった超多国籍チーム。7週間つきっきりで担当してくれたクライアントとともに。
最終的にひとつにまとまった超多国籍チーム。7週間つきっきりで担当してくれたクライアントとともに。

   さらに、個人作業中にギリシャ人がミーティングルームで音楽を流し始めると、ウクライナ人が鼻歌を歌い始めて、「おっ俺もこれ大好き!」「マジで?俺もライブ行ったぜ」という感じで盛り上がり始めました。どうやら全員90年代~00年代のロックが大好きということが判明!それ以来、ミーティングはBGMをかけながら行うことに。音楽が国籍の違いをつないでくれるとは…。仕事だけでは見えてこないこともあるものです。

   チームビルディングに苦労した一方で、色々な国籍や職歴のチームメンバーがいることの良さは、それだけ違う視点を持っている人がいるということ。つまり、自分一人、あるいは全員同じ国籍、同じ職歴だったら予想もしなかった多様なアイデアがざくざく出てくる。また、「そのアイデア、こうしたらもっと良くなる!」というブラッシュアップにも優れた面がある。グローバルCEOへの最終プレゼンでも、「社内では出てこないアイデアが欲しかったから、色んなバックグラウンドの学生たちを選んで正解だった」と言い、私たちの戦略を一部店舗で実験してみると約束してくれました。昨今日本でも「ダイバーシティ」が流行り言葉になっていますが、これをマネジメントする苦労及び成果の出し方は、実際に体験してみないと分からないと痛感しました。

   なお、私たちのプロジェクトはこちらのパンフレットの4ページに「成功事例」として紹介されています。御社もコンサルティングの依頼はいかがでしょうか(笑)?

   ミシガン大学MBAでは、上記のような企業コンサルティングプロジェクト(MAP)以外にも、起業したい人たちが集まって実際にチームでビジネスプランを描き資金集めする「New Venture Creation」という授業があったり、チームで仮想の経営陣になってある企業の中期経営計画をつくり、クラスメイトを記者や投資家に見立てた模擬記者会見を行い、その様子を実際にその企業のCEOが評価する「CEO's Class」という授業があったりと、もし皆さんが今MBAに留学したら、「そんなに実践的になっているのか!」と驚くこと間違いなしです。

「現場」「実践」に向かうMBA

   さらに、ケースメソッドの総本山と言われているハーバード大学のMBAでも、2011年からFIELDと呼ばれる実践型の授業がスタートしています。海外でクライアントに向けたプロジェクトを行ったり、クラスメイトともに小さなビジネスを立ち上げたりするというもので、「ケースメソッドを補うため」とうたっています。

   最後に、かつてウォール・ストリート・ジャーナルがリクルーター・ランキング(企業の採用担当者による「この学校の卒業生は実戦で使えるから雇いたい」というランキング)を発表していたことがあります。ミシガン大学MBAは2006年にこのランキングで1位を獲得したことがあるくらい、早くから「現場」「実践」に向かってきた学校です。というわけで、ウチの学校卒の人を見かけたら、「あっ、期待していいかも」と思っていただければ幸いです。(室健)

室 健(むろ・たけし)
1978年生まれ。東京大学工学部建築学科卒、同大学院修了。2003年博報堂入社。プランナーとして自動車、電機、ヘルスケア業界のPR、マーケティング、ブランディングの戦略立案を行う。現在は「日本企業のグローバル・マーケティングの変革」「日本のクリエイティビティの世界展開」をテーマに米ミシガン大学MBAプログラムに社費留学中(2014年5月卒業予定)。主な実績としてカンヌ国際クリエイティビティ・フェスティバルPR部門シルバー、日本広告業協会懸賞論文入選など。
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