以前、シンガポールを拠点とするヘッドハンターの方(日本人)とお食事をしたことがあります。シンガポールやアジアの人材の事情について、情報交換をしました。彼は、シンガポールに進出してきている外資系の企業を中心にヘッドハントを行っているそうです。私のひとつのおおきな関心は、そういう企業に日本人はヘッドハントされる事例はあるのか?ということです。優秀であれば、国籍はまったく関係ない。しかし…日本の会社に在籍しながら悠長に、では…彼は、「日本人でも問題ない」と即答しました。優秀であれば、国籍はまったく関係ないそうです。スペック(スキルや経験)が合致していて、年俸に大きな溝がなければ大丈夫だと。私はすこしほっとしました。日本人もグローバルに活躍するチャンスはありそうだ。しかし、そのあとの言葉は以外なものでした。「といっても、現実的には、日本人に声を掛けることはありません」えっ?国籍は関係ないといったばかりではないですか?とおもったのですが、よくよく聞いてみると、納得のいく理由がえられました。日本人は意思決定が遅いのだといいます。シンガポールでは、転職の場合、だいたい1か月位で採用がきまり、次のひとが働き始めます。給与の安く比較的だれでもできる仕事の場合は、1週間や2週間できまることもあるといいます。ヘッドハンターに依頼があってから1か月で次の人が働き始める。「人を探すわれわれもスピード勝負」「だから、人を探すわれわれもスピード勝負です」とのこと。日本人の場合、このスピードにはついていけないのだそうです。とくに日系企業に勤めている人は、意思決定が遅すぎます。声をかけても面接にいくかどうかの時点で迷ったり、内定がでても、会社を辞めるのに3か月とか、下手をすると6か月とかかる場合があったりします。「シンガポールではそういうスピードでは動いてないので、現実的ではないのです」グローバルジョブの世界では、仕事を得ようと考えるひとが競争の列をなして並んでいます。同じ能力の人であれば国籍など関係ないのだから、むしろ日本人ではなく、他の国の人に声をかけることが殆どだといいます。ではどうすれば候補にあがるのか?「まずシンガポールに来て、シンガポールの企業や外資で働く。ビザを取得しておく。いつでも動ける態勢にあるひとはwelcomeです」日本の会社に在籍しながら悠長にグローバルジョブを探すというのはどうやら現実的ではないようです。(大石哲之)
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