新卒研修後ほどなくメンタル休職入り 「入社1年未満なのに半年も休み」っておかしくないか?

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臨床心理士 尾崎健一の視点
「休職期間なし」は現実的ではない

   傷病休職制度は、回復への猶予期間という意味合いが強いものです。もし「休職期間なし」にしてしまうと、猶予をもたせる対応を発生ベースで考えなければならなくなり、現実的ではありません。会社規模にもよりますが、現行規則の「勤続1年未満は休職期間半年」というのは一般的に見られる程度で、更に短かくすることは社員や組合の反対を受ける可能性もあるでしょう(新入社員の場合、試用期間をどう捉えるかという点も検討が必要ですが)。

   とは言え、メンタルヘルス休職への対応は新しい課題であり、就業規則が作られた当時と情勢が変化していることは否めません。もともとメンタルヘルス不調により長期休職が多く発生することを想定していなかったという理由から、制度や規則を変更する会社が増えてきているのも事実です。

   変更する場合は、会社側の配慮が望まれます。変更決定後に何段階かに分けた移行期間を設けるところもあります。また、現在休職中の人には休職開始時の規則を継続して適用するケースもあります。いずれも急激な変化にならない工夫といえるでしょう。

尾崎 健一(おざき・けんいち)
臨床心理士、シニア産業カウンセラー。コンピュータ会社勤務後、早稲田大学大学院で臨床心理学を学ぶ。クリニックの心理相談室、外資系企業の人事部、EAP(従業員支援プログラム)会社勤務を経て2007年に独立。株式会社ライフワーク・ストレスアカデミーを設立し、メンタルヘルスの仕組みづくりや人事労務問題のコンサルティングを行っている。単著に『職場でうつの人と上手に接するヒント』(TAC出版)、共著に『黒い社労士と白い心理士が教える 問題社員50の対処術』がある。

野崎 大輔(のざき・だいすけ)

特定社会保険労務士、Hunt&Company社会保険労務士事務所代表。フリーター、上場企業の人事部勤務などを経て、2008年8月独立。企業の人事部を対象に「自分の頭で考え、モチベーションを高め、行動する」自律型人材の育成を支援し、社員が自発的に行動する組織作りに注力している。一方で労使トラブルの解決も行っている。単著に『できコツ 凡人ができるヤツと思い込まれる50の行動戦略』(講談社)、共著に『黒い社労士と白い心理士が教える 問題社員50の対処術』がある。
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