臨床心理士 尾崎健一の視点
「休職期間なし」は現実的ではない
傷病休職制度は、回復への猶予期間という意味合いが強いものです。もし「休職期間なし」にしてしまうと、猶予をもたせる対応を発生ベースで考えなければならなくなり、現実的ではありません。会社規模にもよりますが、現行規則の「勤続1年未満は休職期間半年」というのは一般的に見られる程度で、更に短かくすることは社員や組合の反対を受ける可能性もあるでしょう(新入社員の場合、試用期間をどう捉えるかという点も検討が必要ですが)。
とは言え、メンタルヘルス休職への対応は新しい課題であり、就業規則が作られた当時と情勢が変化していることは否めません。もともとメンタルヘルス不調により長期休職が多く発生することを想定していなかったという理由から、制度や規則を変更する会社が増えてきているのも事実です。
変更する場合は、会社側の配慮が望まれます。変更決定後に何段階かに分けた移行期間を設けるところもあります。また、現在休職中の人には休職開始時の規則を継続して適用するケースもあります。いずれも急激な変化にならない工夫といえるでしょう。


