2024年 4月 20日 (土)

「韓国船沈没事故」にみる朴大統領の失敗 広報戦略の視点から

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   韓国南西部の珍島(チンド)沖で沈没した旅客船「セウォル号」事故は、死者・行方不明者が300人を超す大惨事となった。韓国各紙は「韓国は『三流国家』だった」などの見出しを掲げた記事を相次いで掲載し、政権の対応を批判している。

   事故発生は4月16日(2014年)。それから乗客者数の把握に3日ほどかかり、船内にダイバーがまだ進入できていなかった18日には「船内で捜索を始めた」と発表、その数時間後に撤回したことなどが不信を増幅させた。そこで今回は、この事故を広報の観点から分析してみたい。

セオリーは、事実確認、対応策などの「3点セット」

   危機管理時の広報のセオリーは、事実確認と原因究明、対応策、再発防止策の「3点セット」。今回のケースでは、人命救助が急務であることから、原因究明を後回しにして、まずは事実確認と対応策を急ぎ、できる限り速やかに発表しなければならない。その際、船を運航する会社が当事者であり、セウォル号が遭難信号を出した段階で重大事故と受け止め、監督官庁に報告するとともに、事故の第1報を発表しなければならない。

   また、政府は船を運航する会社からの報告と、海上交通管制センター、木浦海洋警察からの連絡を受けて、すぐさま人命救助の対応策をまとめ、実行しなければならない。この段階で事故対策本部は政府内に置かれ、現場海域の潮の流れ、海水の透明度、必要機材の選定、諸外国への救援要請、被害者家族への連絡と宿泊場所の手当てなどの情報を一元化し、矢継ぎ早に実行に移す必要があった。

   事故が起こったのは4月16日午前8時50分頃で、8時55分頃には目的地である済州島の海上交通管制センターに異常が連絡された。記者発表は例えば、船を運航する会社の第1報が9時30分、政府の事故対策本部会見が10時から1時間置きに開かれるくらいの緊張感があってよかった。しかし、実際の対応は後手後手に回った。

管野 吉信(かんの・よしのぶ)
1959年生まれ。日刊工業新聞社に記者、編集局デスク・部長として25年間勤務。経済産業省の中小企業政策審議会臨時委員などを務める。東証マザーズ上場のジャパン・デジタル・コンテンツ信託(JDC信託)の広報室長を経て、2012年に「中堅・中小企業の隠れたニュースを世に出す」を理念に、株式会社広報ブレーンを設立。
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