2020年 1月 29日 (水)

「韓国船沈没事故」にみる朴大統領の失敗 広報戦略の視点から

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弔意を示しつつも毅然たる態度を貫かなければ…

   事故の翌日、海洋警察庁や海軍などの200人近い潜水士が救助活動に当たったが、潮流が速く、天候も悪化したことから船内に進入できなかった。韓国政府は船体を引き揚げる海上クレーン3台を派遣することを決めたが、到着は4月18日になった。そのクレーンも潮流と視界不良で船体に近づけず、18日には船がほぼ完全に水没した。

   朴大統領は事故の翌日に乗客の家族らが集まる体育館を訪問し、できる限りの支援を行うとともに、事故原因の究明を図ることを約束した。しかし、この日の朴大統領の記者会見は、テレビで見る限り、広報の観点からは好ましいとは言えなかった。事故から丸一日経過しているのに、できる限りの支援の具体策が乏しかったうえ、表情が疲れて弱々しい印象を与えていたからである。大統領は人命救助の総責任者なのだから、具体策がなければ失望させるだけだし、弔意を示しつつも毅然たる態度を貫かなければ、乗客の家族や国民に安心感を与えられない。

   事故や災害時には、初期動作が極めて重要だ。広報面では、事実確認と対応策の迅速な発表が当たり前であり、それができなければ批判を浴びてしまう。韓国の旅客船の沈没事故は、事故当日の韓国政府の緩慢とも思える対応が一日遅れの救助になり、その一日遅れが潮の流れや気象条件により、さらなる遅れにつながった感が否めない。企業広報の観点からも、教訓としたい出来事だった。(管野吉信)

管野 吉信(かんの・よしのぶ)
1959年生まれ。日刊工業新聞社に記者、編集局デスク・部長として25年間勤務。経済産業省の中小企業政策審議会臨時委員などを務める。東証マザーズ上場のジャパン・デジタル・コンテンツ信託(JDC信託)の広報室長を経て、2012年に「中堅・中小企業の隠れたニュースを世に出す」を理念に、株式会社広報ブレーンを設立。
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