2024年 4月 18日 (木)

君は「半沢直樹」になってはならない! その前にやるべきコトがある

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   ちょうど去年(2013年)の今頃始まったドラマ「半沢直樹」はとても話題となり、決めゼリフの「倍返し」が流行りました。

   最高視聴率も40%超えという大ヒットドラマとなりました。

   私も全部見ましたが面白かったですね。

   主人公が自分より目上の悪いヤツらに立ち向かってやり返すという感じだったので、その爽快感に世の中の多くの人が共感したのだと思います。

   ドラマを見て、「自分もムカつく上司がいて日々耐え忍んでいる状況だけどできないから、それをドラマでやってくれてるのでスッキリしていた」という人も多かったのではないかと思います。普通だったら、課長が常務取締役に土下座しろとか支店の課長を脅して金庫に忍び込んで証拠を差し押さえるとかできませんからね。

そもそも会社というのは、理不尽なことが多発する場所

「倍返しだ!」宣言の前に…
「倍返しだ!」宣言の前に…

   でも、普通の会社に勤めている20代、30代の人が半沢直樹のように会社で上司に倍返し的な感じで報復をすると痛い目にあいます。会社を辞める覚悟があって、最後に一矢報いたいというくらいの強い想いがあるのであればそれはそれでいいのかもしれませんが、まだ今の会社にいるというのであれば我慢すべきだと思います。

   そもそも会社というのは、理不尽なことが多発する場所なのです。だから最初からそういうものだと割り切っておくマインドが必要だと思います。

   いわゆるブラック企業の悪質過ぎる理不尽さは抜きとして、普通の会社でもよくあることです。自分が悪くないのに謝らなければならなかったり、上司の指示がころころ変わってやり直しを余儀なくされたりと我慢しなければならない様々なことがあります。

   いちいちキレていたら身が持ちません。そういうものなんだと、ある種の割り切りが必要なのではないでしょうか。会社は、忍耐力を養う道場のようなものだと思います。

   私は、ある経営者にこんな質問をしたことがあります。

「半沢直樹が流行っていますが、社内にああいう社員がいたらどうですか?」

   すると帰ってきたのは意外な回答でした。

「仕事もやっているし、正義感があるからいいんだけど、実際にウチの会社にいたら扱いに困りますね」

会社から危険分子扱いされる可能性も

   それはなぜかと聞いてみると、このようなことでした。

「ああいう芯が通った社員がいたら心強いし、成果を出してくれるんだから頼もしい。
   だけど一歩間違えると劇薬にもなりかねず、下手すると組織の秩序が崩壊してしまう。
   半沢直樹のような社員の部下が『よし、俺も言うぞ』とか変な正義感を持たれても困る。
   半沢直樹を使いこなすには使う側のレベルが高くないと難しい」

   つまり、半沢直樹のような社員は現実的には両刃の剣ということです。

   雑誌等の経営者のインタビューで「出る杭は伸ばす」というような記事をたまに見ますが、それは最低限の一般常識を持っている、周囲への配慮ができるということができるという前提でしょう。単に尖っているだけの社員で周囲を困惑させる存在は伸ばされるどころか、杭を抜かれるか、地面に沈められるかどちらかになります。

   自分に実力があってよほど自信があるのであれば良いかもしれませんが、普通の人だったら半沢直樹のように振る舞うと、かなりのリスクがあると思います。

   正義は我にありという感じで悪い上司をやっつけても、その人が会社にいる限り、恨みを持たれるのでどこかで足を引っ張られることもあるかと思います。ドラマでは勧善懲悪は成立しますが、実社会では成立しないこともありますのでご注意ください。

   多くの日本の会社では上下関係は重んじられていますし、やりすぎると会社から危険分子扱いされる可能性があるからです。

   世の中には職場での人間関係で悩んでいる人か多く、ストレスから病気になってしまう人もいるくらいです。そういう人に対してのアドバイスで「理不尽な上司や周囲に気を遣いすぎるからストレスになるのだから、あまり気にするな」とか「できる人はAKY(あえて気を遣わないの略)!」というのを聞いたことがあります。

   確かに、それは一理あります。周りに気を遣いすぎて自分が振り回されると、ストレスもたまります。AKYはいちいち周りを気にしないということですが、そもそも空気が読めなければこういう芸当はできないでしょう。本当の意味でAKYができている人は少ないのではないでしょうか。

   空気を読むというのは、気遣いにもつながります。よほど実力があって会社から「君には辞めてもらっては困るんだよ」と言われるくらい成果を出しているのであれば多少気遣いができなかろうが許されるかもしれませんが、普通の人は職場で気遣いができないと「あいつは気が遣えない」というレッテルを貼られてしまう可能性もあります。

やるべきことをやって自分の実力を高めておく

   職場の人間関係の苦しみから脱却したいのであれば、人間関係が円滑になる会話術といったテクニックを学ぶ前に、まずは自分の与えられた職務で成果を出すことが優先です。

   管理職研修などで参加者の声を聞いていると、「部下が仕事もまともにできないくせに、要望だけは一人前なんだ」ということも聞きます。

   そういうことを言う人の良し悪しは別として、一般的に考えてやるべきことをやっていないのに要望や愚痴を言っても、聞く耳を持ってくれないでしょう。

   なんだかんだ言っても、ドラマの中では半沢直樹は仕事ができる人で成果を出していたから良かったのであって、もし彼が仕事ができなかったら部下もついてこないし、問題児ということで早い段階で出向させられたと思います。

   やるべきことをやって自分の実力を高めたうえで、「もうここでは我慢できない」と思ったら転職すればいいのです。景気が良かろうが悪かろうが、会社は優秀な人材を常に欲しがっています。「今の会社を辞めたら自分は行くところがない」という追い詰められ感によって逃げ場を失ってしまうことが、ストレスにもなるのではないでしょうか。

   最後に確認しておくと、私が「半沢直樹になってはならない」というのは、やるべきこともやっていないのに上司をやりこめるとか会社に不平不満をぶつけるということをしない方がいいという意味です。(野崎大輔)

野崎大輔(のざき・だいすけ)

大学卒業後に無職、離職を繰り返し社労士として独立し、企業の労使トラブルの解決に奔走する。2013 年7 月に自律型人材育成専門コンサルティングを行うデストロイ・ジャパン株式会社の創業メンバーに加わり、専務取締役に就任。社員が自発的に行動する組織作りに注力している。単著に『できコツ 凡人ができるヤツと思い込まれる50の行動戦略』(講談社)、共著に『黒い社労士と白い心理士が教える 問題社員50の対処術』がある。
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