2019年 11月 16日 (土)

「残業代見込んだ生活設計」に社長ブチ切れ 「原則禁止令」発したが社員はドン引き

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残業をしてない人たちからも「不安の声」

   適正残業と残業手当の問題というものは、実に厄介です。はじめから勝手に残業時間込みで自分の1日の所定勤務時間を決めて平然と残業代込みの給与を「生活給」として手にする社員と、不要な残業をなんとしてもさせるものかと意気込む社長。表向きは社員が一方的に悪いようにも思えますが、残業禁止令という強引なやり方で進めてしまっていいものかどうかは、実は悩ましい問題なのです。

   現実にK社でも、部長によれば社長の残業禁止令に対する社員の反応はおしなべて芳しくないそうで、残業をしてない人たちからも「生活にかかわる給与の制度を、いきなり会社都合で変えられてはこの先も何が起きるか不安だ」という声も聞こえているのだとか。

   人事や給与に関する事柄は、社員からすれば生活直結のものすごくセンシティブな問題であるだけに、重要度、関心度とも非常に高いのです。これに関する強引、性急なやり方が社内のムードを悪くして離職を促進することになり、苦境に陥った企業も複数見てきています。それだけに、仮に社員側に行き過ぎた運用や間違った理解があったとしても、ここは慎重に事を運びたいところなのです。

   私は、残業込みの給与体系への変更で残業の上限を抑え様子を見るやり方もありますよと、N社長に代替案を進言したのですが、とにかく「不要な残業代は払いたくない」「ほとんど残業をしない者にまで残業代を支払うことになるのは嫌だ」ということで却下。

   逆に社長は、「無駄な残業をしている連中を管理職に昇格させて、管理職手当の最低額を支給することで残業を取り上げるのはどうか」などと言い出す始末。もちろんこれは「名ばかり管理職」の発令によるサービス残業の強制になりかねませんから、完全アウト。認めるわけにはいきません。

大関暁夫(おおぜき・あけお)
スタジオ02代表。銀行支店長、上場ベンチャー企業役員などを歴任。企業コンサルティングと事業オーナー(複合ランドリービジネス、外食産業“青山カレー工房”“熊谷かれーぱん”)の二足の草鞋で多忙な日々を過ごす。近著に「できる人だけが知っている仕事のコツと法則51」(エレファントブックス)。 連載執筆にあたり経営者から若手に至るまで、仕事の悩みを募集中。趣味は70年代洋楽と中央競馬。ブログ「熊谷の社長日記」はBLOGOSにも掲載中。
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