2020年 9月 21日 (月)

もう「解雇規制緩和」の議論はやめよう 総合的な変化踏まえ「再定義」を

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   ここ数年来、アベノミクスの影響などもあり、株高、雇用増といった効果が喧伝されてきた。しかし、細かくデータをみると、表面的にはわからない実態が明らかになってくる。2014年末にNHK社会部が報道発表した、5000万件にものぼるデータ統計から導き出されたのは・・・

・2011年度から13年度にかけて、全国すべての都道府県で求人数は増加
・ただ求人の多くは非正規雇用で、離職率が高い仕事の割合が多い
・実質賃金は、2014年11月まで17か月連続で前年同月を下回っている

という事実である。すなわち、景気や雇用が回復したように見えても、正社員の雇用はそれほど増えておらず、実質賃金も上がっていないのだ。その理由として考えられることは多々あるが、私はその中でも「解雇規制」の存在が大きく影響を及ぼしていると認識している。

そもそも「解雇規制」とは?

雇用の再定義とは?
雇用の再定義とは?

   日本では、「正社員の解雇は規制が難しい」と言われる。しかし民法では、「(期間を定めなかった時は)当事者のどちらからでも一方的に解除を申し入れることができる(民法627条)」、つまり、退職も解雇も自由となっていて、矛盾しているようだ。これは一体どういうことなのだろうか。

   話は戦前の工場労働にさかのぼる。当時は労働基準法もなく、工場労働者は劣悪な環境で働かされる、すなわち「経営側から搾取される」ことが多かった。

   民法の契約はあくまで「当事者の立場が対等」であることが前提になっているのだが、「労働者」と「経営者」では対等ではない。そんな民法では労働者の保護が不十分だということで、1947年(昭和22年)に「労働基準法」ができ、解雇する場合の最低基準が定められた。「30日以上前に予告する、または同日数分以上の平均賃金を払う」という条項だ。

   当時は「30日分の平均賃金を払えば、特に理由がなくても自由に解雇できる」という認識が一般的だったが、1950年代に多くの労働争議が起こり、解雇にまつわる裁判の判例が積み重なっていった。それによって段階的に労働者に対する法的保護がなされていき、解雇権を濫用できない方向性となっていったのである。それら判例に基づいた原則は現在の「労働契約法」に条文化されている。

   現在の日本において正社員の整理解雇を行おうとすると、皆さんご存知のとおり「4要件」が必要とされる。すなわち「人員整理の必要性」「解雇回避努力義務の履行」「被解雇者選定の合理性」「手続の妥当性」というもので、解雇はこの要件にすべて適合しないと無効とされる。これにより、日本の正社員の解雇は厳しいと認識されているのだ。

   (ただし近年の裁判では、4要件を厳格に運用するのではなく、「総合的に考慮した結果、相当と認められれば解雇を有効とする」、すなわち「要件」ではなく「要素」として捉える判例も増えている)。

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