2024年 4月 19日 (金)

「ゆとり世代」の武器は「ゆとり」だ こんなにある良い面、すごいところ

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   前回は忘年会で酔い潰れてしまったリーダーの話をしましたが、後日談があります。

   飲み過ぎてしまい、体調不良で翌日休むことになってしまったそうです。

   私個人としては、忘年会で良い働きをしたと思っているので評価していますが、一般的に考えるならば、社会人としては失格ですね。

   でも、誰も怒ることなく「まぁ仕方ないよね。休んだ方がイイよ」と逆にねぎらっていたのですから不思議です。

「私、今日代わりに出勤しますよ」と自主的に申し出

気持ちにゆとり
気持ちにゆとり

   また、思わず「たいしたもんだな」と感心するシーンにも出くわしました。

   リーダーが体調不良により休むことが決まった時に

「私、今日代わりに出勤しますよ」

と24歳の女性が休み返上で出勤を申し出たのです。

   私はその自然な流れに驚きました。普通だったら休み返上で出勤する人は出ないか、しぶしぶ仕方ないからやります的な感じになると思います。なのに、彼女は自分から手を挙げたのです。

   そして、この代理出勤の女性も含め、リーダーがやるべき仕事をみんなで分担してやったそうです。

   これこそ会社で仕事をする上での理想の姿ではないでしょうか。

   少し前、大阪で製造業の会社の若手社員10人に対して研修をやらせていただく機会があり、そこでも感心したことがありました。私は最初に

「では今からリーダー、副リーダー、書記を決めて下さい。決め方は皆さんにお任せします」

と言って様子を見ました。いつもどのように決まるかを見て、進め方を考えています。

   なかなか決まらずじゃんけんで決めるのか、多数決で決めるのか、それとも誰かが立候補して決まるのか・・・だいたいこの3パターンに分かれます。

   そして、時間のかかり具合も異なります。なかなか決まらない会社もあれば、すぐに決まる会社もあります。

会社の方針が伝わっている

   この会社ではすぐに決まりました。しかも立候補です。私がアナウンスしてからすぐに手を上げて

   「私がリーダーをやります!」と5秒くらいで決まってしまいました。その後に

   「では私が副リーダーをやります!」「私が書記をやります!」とすぐに決まってしまったのです。研修でも難題を課しましたが、積極的に取り組んでいました。

   彼らは俗に言うゆとり世代です。

   ゆとり世代というと悪いイメージとしてとらえられていることが多いのではないかと思います。仕事に意欲的でない、自分勝手、弱い・・・こうしたイメージではないでしょうか。

   でも彼らからはそうしたことは感じません。

   さて、この2社の共通点は何でしょうか?

   2社では研修中、参加者同士でこんなことを言っていました。

「いつも院長はこういっていたよね」
「これ、会社の方針としてあったよね」
「課長がいつもそう言ってたな」

   つまり、会社の方針がちゃんと伝わっているということであり、言い換えるならば会社でしっかりと教育されているということです。

   また、2社に共通していたのは、みんな挨拶をちゃんとすることです。

   新しいスキルや知識よりも、仕事に対する姿勢やあるべき行動などをしっかり叩きこまれている印象を受けました。研修だけでなく、日常の仕事の中でも上司が何度も繰り返して言っているのではないかと思います。

『ゆとり』は、余裕があり、窮屈でない状態や物事のこと

   ゆとり世代というとマイナスのイメージを持っている人もいますが、『ゆとり』という単語自体はマイナスではなく、むしろプラスのイメージではないでしょうか。

   『ゆとり』という単語を調べてみると

余裕があり、窮屈でない状態や物事のこと

と記載されていました。

   ゆとり世代の特徴によく挙げられるのは、車は要らない、服はファストファッションで十分、というように物欲がないことだったり、管理職にならなくてもいい、給料はそこそこ貰えればいいという出世欲がそれほどなかったり、ということです。

   変なギラギラ感がなく、自然体とも受け取れます。

   私は素直さも持ち合わせていると感じており、彼らに「よしやろう!」というスイッチが入ると決めたことを実行するようになるという場面を多く見てきました。

   立派なことをしれっとやってしまい、それを誇示するわけでもない――

   ゆとり世代の良い面ではないかと思います。

   中高年の方からは切迫感を感じることはありますが、ゆとり世代の若手社員からは切迫感を感じません。もちろん仕事の量、役割などが違うので無理もありませんが、彼らも彼らなりに大変だと思います。

   彼らには『ゆとり』があるため、まだまだ可能性を秘めていると私は思っています。

   可能性を引き出すのは会社次第ではないでしょうか。(野崎大輔)

野崎大輔(のざき・だいすけ)

大学卒業後に無職、離職を繰り返し社労士として独立し、企業の労使トラブルの解決に奔走する。2013 年7 月に自律型人材育成専門コンサルティングを行うデストロイ・ジャパン株式会社の創業メンバーに加わり、専務取締役に就任。社員が自発的に行動する組織作りに注力している。単著に『できコツ 凡人ができるヤツと思い込まれる50の行動戦略』(講談社)、共著に『黒い社労士と白い心理士が教える 問題社員50の対処術』がある。
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