2月も後半に入り、プロ野球のオープン戦が始まりました。連日、スポーツニュースを賑わせていますね。少し前までは、プロ野球選手の年棒契約更改に関するニュースもよく目にしました。今では、スポーツ選手に多い年俸制を導入している会社もありますね。給与には他にも、日給制や月給制などがありますが、やはり多いのは月給制ではないでしょうか。ただし、「月給制」といっても様々な種類があります。今回は、家族の事情から早退しなければいけなかった人の給与問題のエピソードをもとに、「月給制における減額」について考えていきます。(実際の事例を一部変更しています)自宅で仕事はしていたあれ?給与減っている・・・私は、消費財メーカーの営業部でチームリーダーをやっています。うちの会社は月給制で、定時は「9時から18時まで」です。数か月前、母親が病気になってしまい、1か月ほど看病をしなければいけない状態になってしまいました。そのため、定時よりも2時間早く帰る必要が出てきたため、上司に相談をしたところ、事情を理解し了承してくれました。母親の看病も落ち着いた後、月後半の給与明細を見てみるとなぜかいつもより給料が少ないことに気づきました。上司に聞いてみると「2時間早く退社していたわけだから、そのぶんを差し引くのは当然だろう」と突き返されました。しかし、私は2時間早く帰宅はしていたのですが、チームリーダーという立場上、クライアントからのメールや後輩への指示などがあり、仕事はしていました。母親が寝た後、携帯やメールのやり取りで19時頃から夜中まで、平日は毎日、自宅で業務をこなしていました。仕事をしていなかったわけではないのに減額、というのは納得がいきません。むしろ夜中まで仕事をしていたわけですから、残業代ももらいたいくらいです。上司には携帯やメールの履歴を見せたのですが、「退社してからやっていることなので認められない」と言われました。減額分を取り戻すことはできますか?弁護士解説 完全月給や月給日給、日給月給など様々な給与制度があるお母様の体調が心配ですね。仕事をしながらの看病は大変だったと思います。ご相談者は、早退した分を給料から差し引かれたとのことですが、会社の対応には法律的に問題がある可能性がありますね。みなさんの中には月給制の会社で働いている方も多いと思いますが、実は単に月給制と呼ばれていても、実態としては完全月給制、月給日給制、日給月給制など様々な種類があります。まず、完全月給制とは、1か月いくらと月単位で賃金が決められ、遅刻・早退・欠勤があってもその時間分が減額されない制度です。つまり、遅刻・早退・欠勤をしても月で定められた賃金が支払われます。次に、日給月給制と月給日給制ですが、共に、あらかじめ定められた月額があり、遅刻・早退・欠勤した場合に、その時間分が減額される制度です。日給月給制と月給日給制の違いは、月給日給制では、月単位で支払われる住宅手当や職務手当などの諸手当が遅刻・早退・欠勤した際に日割での減額の対象にならない点となります。ご相談者は、月給制とのことですが、前述の月給制のどれにあたるかを確認した方がよいですね。雇用契約書や就業規則に記載があると思うので確認しましょう。完全月給制であれば、早退分の賃金の控除はおかしいという話になります。また、ご相談者は、母親が寝た後、携帯やメールのやり取りで19時頃から夜中まで、自宅で仕事を毎日していたとのことですから、残業代を請求したいところですよね。自宅で業務をしたとしても労働時間として認められる場合があります。裁判例は、労働時間にあたるか否かを、業務性があったか、会社の指揮監督下にあったか、会社の明示ないし黙示の指示があったかなどに着目して判断します。したがって、ご相談者の場合は、19時頃から夜中までの業務がこれらの要素を備えていることを十分確認したうえで、主張することが必要ですね。労働法は非常に身近な法律なんですが、判断が難しい部分も多いです。不明な点があれば弁護士や専門家などに相談してみるのもいいと思います。(文責:「フクロウを飼う弁護士」岩沙好幸)ポイントを2点にまとめると、1:月給制と呼ばれていても完全月給制、月給日給制、日給月給制など様々な種類があり、種類によって減額されるかどうかは変わってくる。2:自宅での業務が、労働時間として認められる場合がある。
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