途上国は、人件費や土地代が安いから、起業に最適!という紹介をよく見ますが、半分正解で半分間違いです。今回は、その「半分」の内容をお伝えします。サムライカレーで雇っている現地スタッフがすごく優秀で、彼が入ってから料理の質やキッチンの整理整頓、お店の清潔さが1ランクアップしました。そんな優秀な彼なので、思い切って彼にお店を仕切らせてみよう!ということになり、お店を半分に分けてその半分を彼の好きなようにメニュー作りなどをさせてみることにしました。通常は、こういうことを研修プログラム参加者にやってもらうのですが、カンボジア人スタッフにやってもらうとどうなるかを知りたかったので。物価の低さが「難しさ」に土地代は安くても・・・大きな責任を与えられた彼は、一生懸命新メニューなどを考えてくれます。席の配置なども独自に考え出していい感じ。研修生への刺激にもなります。「ボス、新しいメニューができました」いくつかのカンボジア人受けするカンボジアンフードのメニューです。味も美味しい。素晴らしいので、肝心なことを聞いてみました「これは幾らで売ろうと思っているの?」「1ドルです。ボス」「マジか」カンボジア・プノンペンの隅っこのこの地区での外食は、通常1-4ドルくらいです。4ドルを超えると現地の人はお手上げです。昔は0.75ドルとかのお店もけっこうあったのですが、物価が上がっているのか1ドル以下の店はあまり見なくなってきました。で、レストランでの一食の主流は1-2.5ドル。この物価の低さが、現地で起業するときの難しさになります。一度、色々な店の1月の売り上げや利益目標を調べたことがあるのですが、衝撃的なことに、多くの店の利益の目標がひと月300-400ドル(3.6万円-4.8万円)だったりするのです。日本人的には、せめて40万円くらい・・・と思うのですが、現地の平均月収は100-200ドル程度なので、300ドル稼げればまあまあ、400ドルならかなりいい感じなのです。で、この利益目標を踏まえて価格設定をするので、1食1ドルというような値段がでてしまうわけです。「競合店の目標値が低すぎる」側面もつまり、途上国の難しさは「高いモノは買えない」だけでなく「競合店の目標値が低すぎる」というものもあるわけです。おそらく、この中に突っ込んでいくと壮絶に爆死して、初期投資が回収できないので、この3つのどれかを選ぶ必要があります1:ターゲットをこの人たち以外の外国人にする2:この人たちとは桁違いの金を稼いでいる現地の金持ちを相手に商売する3:この人たちに膨大な量を売って薄利多売で稼ぐこの1、2、3のどれかを達成できるビジネスモデルがないと、商売は非常にむずかしい。損益分岐点を超えることはできても、大きな額を稼ぐことは難しいわけです。我々のサムライカレーは、研修プログラムを売るという形で「1」で売り上げを建てているので問題はないのですが、純粋にカレー屋として、この1-3のどれかを達成できたら最高です。ぜひ、我こそは!と思う研修生にアイデアを出してもらい、それを実行し、達成をしたいところなのですが、あの手この手を試してみながら、会心の施策は打てていません。海外で、現地のひとからお金をもらうのは、なかなか難しいのです。(森山たつを)
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