「長時間仕事している人が頑張っている、偉い」という価値観は古くなりつつあり、「ダラダラ残業」を問題視する声は日増しに大きくなってきている。そんな中、カルビー代表取締役会長兼CEOの松本晃氏が「ダラダラ残業なんてやめなさい」と発言。やはりこれを支持する声が多数か・・・と思いきや、反感の声も目に付く。「残業なんてやめなさい」ほんとは定時に帰りたいけど・・・松本氏の発言が掲載されているのは、ウェブマガジン「WEDGEInfinity」のインタビュー記事だ(2015年10月5日公開)。「ダラダラと残業しているあなたへ僕はあちこちでいつも言うんです。残業なんてやめなさいって」という呼びかけで始まる記事は、自身が20、30代の頃に遅くまで残業して多くの残業代が支払われた時、「会社にずっといる人のほうがいいわけですよ。でも、それをみて、こんな人をだめにするもの、やめたらいいのに」と思った経験を紹介している。仕事以外の時間で知識や教養を身に付け、家族と過ごす時間を大切にし、健康でいるために努力するといったことを蓄積して、人間はどんどん優秀に、魅力的になっていくという持論を展開。そして残業代などいらないくらい大きく稼ぐには、自分を高く売るために他人からの評価を上げることが必要で、そのためには目標設定すべきだとして、「みなさんも、ぜひ自分の時間を確保して、その時間の中で自分の価値を高めて、自分の人生の目標を達成していってください。一番大事なことは時間。仕事は無駄なことからやるのではなく、やらないといけないことから着手してください」と呼びかけている。「終業時間になって新たな仕事が・・・」、現場の痛切な声この記事に対し、ツイッターでは「ほんとこれ。本業の時間生産性を上げて、本業以外の時間で何をするかという」「これはもう21世紀の現代ではスタンダードな考え方であるべきなんだけど、案外そうでもない現実」と、松本氏の主張を支持する声が上がる一方で、「だったら終業時間の17:30になって『今日中に!大至急!』という得意先の仕事全部断れ。以上」「うちだってリリース立ち会い作業無かったらとっとと帰りたいよ・・・」「こっちだって残業しないで良いならそれに越したことはないが、顧客側の都合で定時の1時間前にどうやっても賞味2時間掛かる作業で納品が翌日の始業前までとかいう仕事を持ってきて、しかもそれを『向こうも困ってるからやってあげなさい』とか簡単に受ける上司が居るんだよ。残業する本人の能力だけ責めるんじゃなく、残業を強制する環境にも目を配れよ」「時間内で仕事が終わる負荷マネジメントを管理職がどうおこなってるのか、に言及しないと単なる『現場知らず』に聞こえる」など、「そんなこと言われても!」という反感も多くみられる。松本氏の発言は「正論」のようにも聞こえるが、現実はなかなか厳しいようだ。(MM)
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