2019年 12月 11日 (水)

「下町ロケット」が熱くする 「経営者はかくあるべし」論議

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中小企業の社員は社長で動く

   Tさんは考えました。D社は年功制の古い人事制度が幅を利かせており、社員のやる気はこの制度が削いでいるのではないかと。彼がモデルにしたのは、銀行時代の1990年代以降に導入された実力主義的な信賞必罰の人事制度でした。頑張ればその分報酬が増え、逆に頑張らなければ減ってしまう。それまでののんびりしていた社風が引き締まり、いい意味での緊張感がバブル経済崩壊後の社内に徐々に定着していったことを思い浮かべていました。

   「やる気のない社員たちに火をつけて、社内はきっと見違えるように活気が出ると思います」。Tさんは自己の経験を踏まえた提案で社長の了解を得、社労士とも相談しながら新人事制度を設計して導入に踏み切りました。導入に際しては、大きな期待感をもって職場を回り新制度の浸透をはかりました。しかし半年、1年がたっても思うような効果は生まれず、むしろ「居心地が悪くなった」と同業他社に転職する社員が出るなどして、新制度は悪影響の方が目立ってしまう状況に陥ってしまったのです。

   社長からも「この先、どうするのか」と言われ、Tさんは悩み、銀行時代の元上司であるF先輩に相談に行きました。F先輩は同じく取引先に出向し、業績を順調に進展させ数年後には社長を任されるに至ったOBの成功者です。TさんがD社で仕掛けた人事制度改革の顛末を聞くと、「一般論だが」と前置きしながら次のような話をしてくれました。

   「大企業の社員は制度で動くが、中小企業の社員は社長で動くのです。要するに、大企業の大半の社員は、社長が誰であろうとどのような姿勢で仕事をしていようと関係なく、社内を動かす制度の良し悪しでモチベーションが上下する。中小企業は全く違う。どんなに良い制度を用意しようとも、社長が社員の方を向いて共に前に進む姿勢が見えなければ思う方向には動いてくれません。私も出向した直後には同じような失敗を何度かしました。その折当時の社長に助けられ、中小企業経営とは、社長とは、ということを学んだのです」

大関暁夫(おおぜき・あけお)
スタジオ02代表。銀行支店長、上場ベンチャー企業役員などを歴任。企業コンサルティングと事業オーナー(複合ランドリービジネス、外食産業“青山カレー工房”“熊谷かれーぱん”)の二足の草鞋で多忙な日々を過ごす。近著に「できる人だけが知っている仕事のコツと法則51」(エレファントブックス)。 連載執筆にあたり経営者から若手に至るまで、仕事の悩みを募集中。趣味は70年代洋楽と中央競馬。ブログ「熊谷の社長日記」はBLOGOSにも掲載中。
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