2019年 11月 19日 (火)

中小企業版ジャパニーズ・ドリームの末路 彼らはどこで失敗したのか

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   TVドラマ「下町ロケット」のヒットで、今中小企業のモノづくり現場が注目を集めています。私の周囲にも大企業を陰で支える技術系中小企業はたくさんありますし、ドラマの佃製作所の如く、知名度の低い割に独自の高度な開発力、技術力を持ち、世界的なメーカーに部品を納品している企業も存在しています。

   そんな技術系中小企業発展の可能性と限界点を教えてくれたのが、銀行時代からお付き合いのあったIT機器向けの精密部品メーカーC社です。C社は、大学の技術系学部を出て独立系の開発研究所勤務から独立した、いわゆる発明家であるM氏が立ち上げた世界水準の技術を持つ下請け製造業でした。

一夜にして世界の一流企業に部品を納品することに

技術力と営業力の両輪が求められる
技術力と営業力の両輪が求められる

   創業期からの10年余りは、独自開発の部品を社長の過去人脈を使って販売し、ある程度の売り上げは立っていたものの、研究所勤務時代からの社長人脈以外の営業力は無いに等しい状況でした。当然のことながら、国内の大手メーカーに売り込みを掛けてみても、その扱いは、けんもほろろ。発明家M氏の事業は開発費ばかりがかさみ、C社はいつ倒産してもおかしくないような状況にありました。

   そんなある日、社長が大手企業の担当者に渡した最新極小部品の見本がひょんなことから米国大手IT機器メーカーの技術担当者の手に渡り、いきなり英文Faxで製品照会が入るという『事件』が起きました。

   突然の英文Faxに社長は「怪しいセールスFaxだろう」と思って放置していたものを、たまたま銀行からの出向者が見つけます。「大変です社長、この書面、アメリカのI社が見本を持って本社に説明に来いと言っています!」。それはまるでドラマのようなお話でした。

   アメリカのI社は、C社が製造した極小サイズに似合わない部品の精巧さに驚き、ぜひ取引をしたいと申し出て来たのでした。こうして一介の中小企業C社は、一夜にして世界の一流企業に部品を納品することになりました。まさに中小企業版「ジャパニーズ・ドリーム」そのものでした。

大関暁夫(おおぜき・あけお)
スタジオ02代表。銀行支店長、上場ベンチャー企業役員などを歴任。企業コンサルティングと事業オーナー(複合ランドリービジネス、外食産業“青山カレー工房”“熊谷かれーぱん”)の二足の草鞋で多忙な日々を過ごす。近著に「できる人だけが知っている仕事のコツと法則51」(エレファントブックス)。 連載執筆にあたり経営者から若手に至るまで、仕事の悩みを募集中。趣味は70年代洋楽と中央競馬。ブログ「熊谷の社長日記」はBLOGOSにも掲載中。
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