2024年 4月 25日 (木)

「身も心もボロボロ」に ある起業家が「高い授業料」払い学んだコト
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ファンドからの調達を決め、銀行とも距離

   3年前にお目にかかった時に、私は銀行を批判的に論じる自信満々の彼の姿に、少なからず危ないモノを感じていました。鉛筆をなめて事業計画さえ描けば、銀行からは借りられない資金がたやすく手に入るという錯覚と、資金は銀行借入と違い、上場後に株の売却で回収するので返済は未来永劫不要なのだ、という誤った認識。もしかすると彼は、オリジナルの新しいビジネスモデルをチヤホヤされ、おだてられて木に登ってしまった世間知らずの若者ではないのか、と心配な気持ちになってもいたのです。

   銀行時代の取引先で、同じような苦汁をなめた40代前半のIT企業社長H氏がいます。

「『御社は将来性抜群ですから、上場を狙いましょう。そうなれば社長は持ち株売却の創業者利益で億万長者ですよ。業容拡大資金はうちが出資しますから、大船に乗ったつもりで』等々と言われて、すっかりその気になりました。ところが、気がつけばITバブルははじけてしまい、残ったのは全額返済を迫られる、億に迫る借金と化した出資金のみです」

   ベンチャー・キャピタルは、基本的にファンドを組んで投資資金を調達していますが、投資家及び自社の利益追求が目的であり、慈善事業ではありません。上場断念で出資株式売却によるキャピタルゲインが見込めないのなら、資金返還を迫るのは当然のこと。しかし、この点を甘く見ている起業家や経営者は意外に多いのです。しかも、H社長は銀行に相談することなくファンドからの調達を決め、銀行とも距離ができてしまっていたのです。

大関暁夫(おおぜき・あけお)
スタジオ02代表。銀行支店長、上場ベンチャー企業役員などを歴任。企業コンサルティングと事業オーナー(複合ランドリービジネス、外食産業“青山カレー工房”“熊谷かれーぱん”)の二足の草鞋で多忙な日々を過ごす。近著に「できる人だけが知っている仕事のコツと法則51」(エレファントブックス)。連載執筆にあたり経営者から若手に至るまで、仕事の悩みを募集中。趣味は70年代洋楽と中央競馬。ブログ「熊谷の社長日記」はBLOGOSにも掲載中。
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