2024年 4月 26日 (金)

痛感する企業承継の難しさ 経営者は誰を最優先に考えるべきか

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考えた末の結論は

   そんな社長が思ったのは、「誰のことを最優先で会社経営の将来を考えるか」、だったそうです。

「私の結論は、社員にとってどうしておくのが一番いいのか、そこに重点をおいて会社の将来を考えようということでした。私が社長でいる間のどこかのタイミングで会社を売却し、しばらくは社長のイスにとどまった状態で徐々に経営を他人の手に委ねていくのがいいのではないかと思ったのです」

   Y社長は3年ほど前、基本的に社長以外の取締役は社外とし、それ以降、執行と完全分離をするというやり方をとっています。自身の引退までの間に、自分の後を任せられる企業に資本と経営を譲渡し、執行は当面今のスタイルを継続することで社員の生活も含めて面倒をみてもらおうということなのです。

   ワンマン社長として珍しいほど、的確な現状の把握と将来の展望に基づく判断であると思いました。何よりも、Y社長の「社員最優先主義」とも言える判断軸が、事業承継に迷いを生じさせることなく会社を前に推し進めたと言えるでしょう。

   Y社長の言葉「誰のことを最優先で会社経営の将来を考えるか」は、ありふれた日常と化した企業経営の中ではついつい見落とされがちな観点かもしれません。セブン&アイの鈴木会長も稀代のマーケッターであるがゆえに、知らず知らずのうちに消費者最優先で会社経営の将来までも考えていたのかもしれないのです。

   鈴木会長の退任は、企業における事業承継の難しさを改めて考えさせられる一件でありました。(大関暁夫)

大関暁夫(おおぜき・あけお)
スタジオ02代表。銀行支店長、上場ベンチャー企業役員などを歴任。企業コンサルティングと事業オーナー(複合ランドリービジネス、外食産業“青山カレー工房”“熊谷かれーぱん”)の二足の草鞋で多忙な日々を過ごす。近著に「できる人だけが知っている仕事のコツと法則51」(エレファントブックス)。連載執筆にあたり経営者から若手に至るまで、仕事の悩みを募集中。趣味は70年代洋楽と中央競馬。ブログ「熊谷の社長日記」はBLOGOSにも掲載中。
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