2024年 3月 19日 (火)

「計算お手上げ」国民だらけ カンボジアで「箱もの」より切実なもの

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   カンボジア人のスタッフを雇っていると、その計算力の低さに唖然とすることがあります。

   この国では、アメリカドルとカンボジアリエルの2つの通貨が使われており、通常1ドル=4000リエルで取引されています。当地の人間は、このドル‐リエルの交換計算は凄まじいスピードでやっているので、全く計算ができないわけではないと思うのですが、3ドルの物を3個買ったら9ドル払うとか、1キロ2ドルの野菜を0.5キロ買うと1ドルになるくらいのレベルから、だんだんあやしくなってきます。そして「10ドルのものを40%オフにすると6ドル」レベルになると絶望的です。

学校の数は増えているものの

国の未来は子供たちが担う
国の未来は子供たちが担う

   先日、カンボジアで教育関係の仕事をしている人と話をする機会があったので、このことを聞いてみました。

「カンボジアの学校でも、算数は教えているので、計算を全く知らないわけではないんです。でも、教師が教えたことを定着させていないので、全く身につかないのです」

   みんなが学校を寄付したがるのでお馴染みの教育後進国カンボジアですが、学校の数はそれなりに増えており、今では80%くらいの子どもたちが小学校に入学しているといわれています。しかし、子どもも労働力としてあてにされている事情もあり、小学校を卒業できるのは60%程度といわれ、きちんと教育を受けている人の数は充分とはいえません。

   そんな中でも、中学、高校、大学と進学していく人はいます。進学時には試験もあります。それなのになぜ、算数ができないのか。答えは「全てカンニングで済ませている」からです。

   たとえば、学校で2桁の足し算の仕組みを習い、筆算とはどういうものかを教わっても、自分で2桁の足し算ができるようになるためには、何度も計算問題を解いて、自分のスキルとして使えるようになるまで練習する必要があります。繰り返しの計算ドリルですね。

   しかし、カンボジアの学校ではこの繰り返しの練習がないので、習ったことがちっとも身につかず、基礎ができていない状態で次に進んでしまうのでまた理解ができず......ということが繰り返され、学生のほとんどがおちこぼれ状態になってしまうのです。

森山たつを
海外就職研究家。米系IT企業に7年、日系大手製造業に2年勤務後、ビジネスクラスで1年間世界一周の旅に出る。帰国して日系IT企業で2年勤務後、アジア7か国で就職活動をした経験から「アジア海外就職」を多くの人と伝えている。著書に「アジア転職読本」(翔泳社)「はじめてのアジア海外就職」(さんこう社)がある。また、電子書籍「ビジネスクラスのバックパッカー もりぞお世界一周紀行」を連続刊行中。ツイッター @mota2008Google+、ブログ「もりぞお海外研究所
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